くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ミュータント・タートルズ」(2014年版)「フィフティ

kurawan2015-02-13

ミュータント・タートルズ」(2014年版)
3D映像を完全に意識した画面づくりで、徹底的に見せる娯楽映画。2D版でみたのだが、これはもしかしたら3D版で見たら結構楽しめたのではないかと思う映画だった。制作がマイケル・ベイだから、そのあたりの意識があったのだろうか。

映画は、アニメチックなイラストをバックにタイトルが終わると、いきなり本編になだれ込む。ストーリーは単純で、この手の娯楽映画にありがちな、毒ガス拡散をもくろむ悪役にヒーローたちが戦いを挑むという物で、ストーリーよりも3D映像にその視点を絞った作品。特に、クライマックスの雪山を滑り落ちるシーンからビルの屋上のバトルシーンまで、いかにも3D画面である。

前半部分、やたらカメラを振り回したりする映像が気になったのは、結局3D傾倒したためだろうが、タートルズたちを紹介するまでのストーリー構成がやや雑すぎて、退屈さを味わってしまった。でも、エンターテインメントとしてはこの程度でもよかったし、楽しい映画だった。

難をいうと、亀というヒーローたちの独特の戦いシーンにもっとオリジナリティをくわえたら、傑作になったかもしれないが、意外とふつうに見えたのが残念。でもおもしろかった。


「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」
不思議な映画、大人のために作られたソフトなSMラブストーリーという感じの一本でした。監督はサム・テイラー=ジョンソンという人です。

たまたま友人の代わりに、若くして成功している実業家グレイの取材をすることになった女子大生の主人公アナスタシア。

緊張したままクリスチャン・グレイのインタビューを終えた彼女だが、どこかお互いが引かれ、エレベーターに乗ったアナスタシアに「アナ」「クリスチャン」と呼びかけてドアが閉まる。このシーンがラストで繰り返される。つまり、このワンカットで、物語が非現実のファンタジーに引き込み、一瞬の幻想を描いていくという設定である。

みるみる牽かれあう二人。しかし、クリスチャンには秘密があった。それは、ストレートに女性を愛することができず、一室にプレイルームと呼ばれるSMプレイを行う場所を作り、近づいてくる女性との関係を、契約で、SMプレイをすることで満たしているのである。

一時戸惑ったアナだが、いつの間にかクリスチャンの魅力に引き込まれ、徐々にSMプレイに入っていくが、かたくなに契約を交わすことは行わない。どこか、壁を感じるアナは、最後の最後、クリスチャンから離れていくが、最後に、エレベーターで「アナ」「クリスチャン」と呼び掛け合って暗転する。

クリスチャンは大富豪らしい振る舞いで、ヘリコプターやグライダーに乗せてデートしたり、車や部屋をプレゼントする。その、夢のようなシンデレラストーリーに牽かれていくアナの姿を描きながら、どこかに、まだクリスチャンに秘密を見る。

結局、すべてをさらけ出さないままに、SMプレイを要求するクリスチャンに、相入れない愛情の壁を感じてアナが去っていく。淡々と、ソフトに進むストーリー展開は、時折挿入される性描写で、眠気こそ排除する物の、今一つの鋭さに欠ける演出が、ちょっと、迫力にかけないわけではない。

不思議でファンタジックなラブストーリーの装いを描こうとする意図は感じられるが、もう一歩、何かが足りない、そんな感じのする映画でした。


「チャーリー・モルデガイ 華麗なる名画の秘密」
お世辞にもおもしろいといえない映画。どたばたとふざけているだけにしか見えないストーリー展開に、参ってしまった。しかも、デジタルを駆使した安っぽい映像と、適当な演技、これだけの俳優をそろえて、これはないやろうという出来映え。

監督は、脚本家としては才能のあるデビッド・コープ。今回脚本は担当していないが、とにかく残念な映画に仕上がっていた。

物語は、没落寸前のモルデカイ家の当主チャーリーは、目の前の負債をなんとかするべく奔走する話だが。マンガチックなキャラクターがところ狭しと、すべるギャグを繰り返す。

本国では、こののりはおもしろいのだろうか?受けるのだろうか?しかし、少なくとも私を含め、日本では受けていない気がする。

結局、妙な絵画の詐欺を成功させて、ハッピーエンドだが、細かいエピソードも品がないし、しゃれたおもしろさを追求するわけでもなく、B級映画的なのりをするにはビッグなスターを使いすぎているという中途半端さで終始した。残念な一本。