くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「女神は二度微笑む」「ディオールと私」

kurawan2015-03-16

「女神は二度微笑む」
踊らないインド映画、上質のサスペンスと話題の一本を見る。監督はスジョイ・ゴーシュという人である。

ちりばめられた伏線の数々が謎を呼んでというようなキャッチフレーズだが、全体には香港映画的な作りのサスペンスだった。正直、中盤でだいたいの結末が読めたし、その予想がだいたいあった。

とはいえ、おもしろい。いろいろ散らばった罠が一つにまとまってくるおもしろさは堪能できた。

映画は、一人の男が毒ガスマスクをつけて、マウスを実験しているシーンに始まる。どうやら毒ガスのテストらしい。続いてインドのコルカタカルカッタ)の地下鉄シーン。意味深な少年がバッグを抱えて乗り込む。一人の男が何かの命令でバッグを探し始める。赤ちゃんを抱いた女が泣き叫ぶ赤ん坊に困っている。

次の瞬間、男は、バッグを抱いている少年がターゲットだと近づく。赤ん坊を抱いた女が外にでる。ミルクを忘れたといっていたが、忘れた鞄にミルクがあり、隣の女がそれを母親に知らせようとして、ほ乳瓶が床に、バッグを探していた男のアップ、そして乗客が死んだカット。

それから二年後。一人の女ヴィディヤがロンドンからコルカタへ、行方不明の夫を探しにやってくる。この話が本編になる。

夫アルナブの勤め先データセンターには手がかりもなく、宿泊先にもいない。一方、データセンターの人事課のアグネスが、彼とうり二つのダムジという男を突き止め、知らせようとするが、殺し屋に殺される。この殺し屋、普段は出来の悪い保険外交員で、依頼があると人殺しをする。軽いキャラクターだが、はっきり色分けされた風貌がうまいなとおもう。

一方ヴィディヤはおなかが大きい。彼女を助ける警察署のラナという若い警官が登場。次第に、ダムジを見つけるために深入りしていく。

中盤で、だいたいネタが見えてくる。

実はラナと本部の警視カーンは、地下鉄毒ガス事件の主犯のダムジを見つけるために、たまたま夫とうり二つだということで探しにきたヴィディヤを利用していたのだ。

やがて、ダムジにに加担していたデータセンターの男のPCから、居所を突き止め、追いつめ、その囮としてヴィディヤに接近させるが、ヴィディヤはダムジにあうと、見事に返り討ちにして、かんざしで刺し殺し、ピストルで撃ち殺す。しかも、格闘する中で、おなかの膨らみもダミーであるとわかる。

妊婦の方が警戒されないとか、ここまでの様々な伏線が浮上してくる。

ヴィディヤの夫は冒頭で鞄を探していた男で、その復讐のため、警察の組織を利用してダムジを探したのだ。夫の死の直後に赤ん坊も死産、情報局につとめる彼女は、悲しみのどん底だったというラストである。

ダムジを撃ち殺した後、警察から逃れるため、サリーに身を包んで祭りの雑踏に消えるあたりはヒッチコック的であり、アルナブとヴィディヤの夫婦の存在が物語の人物だと巧みに伏線を張ったり、宿の少年との会話に、ヴィディヤの作り話に信憑性を作ったりと、なかなか脚本はこっている。

次々と登場人物の肩書きをテロップしていくあたりは香港映画的な演出で、一瞬、戸惑いそうになるが、みていればだいたいわかってくる。

そして、迎えるクライマックスは、冒頭の鞄を探す男と妻の写真を加工して、ダムジの顔にしてしまったりという謎解きも見せる。

ハリウッドリメイク決定らしいが、本当にアメリカ好みの一本ではありますね。おもしろかった。


ディオールと私」
ドキュメンタリーはみないのに、ドラマだと間違えて見に行ってしまった一本。このいうパターンは初めてである。

映画はクリスチャン・ディオールのアトリエに2012年にデザイナーに就任したラフ・シモンズがパリ・コレクションを成功させるまでを描いた8ヶ月の密着フィルムである。

これというものものもなく、ディオールのスタッフたちが、様々な努力とアイデアの末にショーを成功させていく。

生花で飾った舞台に、美しく彩るモデルたちの姿を見せるクライマックスは、本来圧巻なのだが、さすがに映像ではその迫力を見せ切れていないのが残念。まぁ、予定外の鑑賞なのでこの程度で。