くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「マイ・ライフ・メモリー」「余命90分の男」「コウノトリの

kurawan2015-03-18

「マイ・ライフ・メモリー
すさんだ映画、確かにアメリカはこうだね、という逃げ場のない映画でした。ひたすら暗いです。まぁ、ナオミ・ワッツをみるだけの映画なのでいいといえばそれまでだったでしょうか?監督はロリー・コリヤーです。

コンビニで働くメリッサと、半身不随で仕事のないリッチという恋人同士、モーテルで貧乏暮らしをしている。

メリッサには、元恋人でDVの男ジャスティンがかつていて、最近、メリッサの周りをうろつくようになってきた。

そんなおり、メリッサが妊娠して物語が動き始めるが、その重圧故か、リッチは再び酒仁浸り始める。メリッサの母の家に転がり込んだものの、またぎくしゃくしたすさんだ世界が見えてくるし、結局、どうしようもなくなったメリッサは中絶、リッチに優しく抱かれてエンディング。

どうしようもないアメリカの現実だが、これでは映画を見に来た何かがなにもないような映画だった。


「余命90分の男」
ロビン・ウィリアムスの最後の主演作である。が、これが結構テンポよくておもしろい映画でした。なぜ未体験映画になんてしまったのか不明の一本。監督はフィル・アルデン・ロビンソンである。

とにかく、お話の展開がリズミカルにテンポがいいのです。ぽんぽんとナレーションとストーリーを交互に描きながら、走り抜けるように話が進んでいくのです。

映画は一人の男ヘンリー・アルトマンが草原で家族とほのぼのくつろいでいるシーンから始まり、その後一気に25年後へ。

この日、ヘンリーは仕事場へ行く前に病院へ向かっている。いつもの主治医の医師に検査結果の話を聞きにいくのだが、渋滞で思うように進まない。愚痴をこぼしながら信号を待ち、飛び出したとたんタクシーにぶつけられ、悪態をつき、そのまま病院へ。

一方ここに、若いシャロンという女医がいる。医者になりたての頃の情熱も失せ、職場での不倫と多忙な仕事に翻弄されて、鎮静剤の常習者である。通勤途上のバスが事故で、何ともついていない日。さらに、不倫相手の医師の患者を回されていらついている。その回されたのがヘンリーだった。

こうして物語が始まる。ヘンリーは主治医ではないシャロンに悪態をつき、検査結果を聞きながら罵倒する。そして、脳内動脈瘤だといわれ、余命を聞き出そうとわめく。そんなヘンリーにいらついたシャロンは、傍らにあったターキーの焼き上がりが90分というチラシをみて、余命90分だと告げてしまう。

悪態をついて病院を飛び出すヘンリー。我に返ったシャロンは彼を追いかける。

ヘンリーが余命90分を有効に生きるべく、妻とSEXしようとしたり、昔の知人とパーティをしようとしたりして焦る姿と、彼を追いかけるシャロンの姿が前半。

リサイクルショップの店員のおやじが、吃音で、ヘンリーをいらつかせたり、様々なユーモラスな展開がどんどん観客を引き込む。

そして、とうとう橋の上から飛び降りようとするヘンリーに追いついたシャロン。しかし飛び降りたヘンリーを助け、ヘンリーの希望で、確執のある息子トミーの元へつれていこうとする。

乗ったタクシーが、冒頭のタクシーだったり、警官に捕まるも、事情を察してくれたりと、ユーモアあふれるエピソードが次々登場。そして、息子に会い、無事入院。結局、ヘンリーは子ノアと8日間生きたとナレーションが入り、8日間の充実した日々と、ラストで、遺灰をシャロンやヘンリーの家族と川に捨てるエピローグまで笑わせてくれる。そしてほんのりと胸が熱くなるのです。

とってもハートフルなお話で、ユーモラスな中に、じわっと胸に迫る家族愛の話も交え、テンポよく駆け抜ける映画で、ちょっと必見の一本でした。おもしろかった。


コウノトリの道 心臓を運ぶ鳥 前編」
フランスのヤン・クーネンが描くサスペンススリラーの前編。
上質のサスペンスで、しっかりと展開する様は、ちょっと見応えがある一本でした。

一人の男ジョナサンがバイクを止めて、立ち小便をしている。そこに、マックスという男から、到着を催促する連絡。バイクでマックスのところについたが、コウノトリの異様な巣が並ぶ光景を目にする。そして、カメラがゆっくりと上昇していくと、巣の中にマックスの死体がある。衝撃のオープニングが、ちょっとしたものである。

警察がやってくるが、何か隠しているジョナサンの様子に不振を持つ刑事。実はこの家の地下に催眠をかけるような機械が設置されている。この意味は前編では明らかにされない。

ジョナサンはマックスの意志を継いで、コウノトリの移動ルートの研究を引き継ぐが、不気味な男がじっとジョナサンを見つめている。

イスラエルに飛んだジョナサンは、そこでイドという男の妹サラと出会う。そして、コウノトリの足に着けられた足輪に仕込まれたダイヤモンドの鉱石を見つける。一方、刑事もマックスの家の地下で、大量の足輪とダイヤモンドの鉱石を見つける。

次第に、マックスの正体が見えてきて、ジョナサンは、ヒントを残して去ったサラを追いかけるべく準備をするが、向こうからアーミッシュの姿の男が近づき、いきなり機関銃を撃ち始める。そして、前編終了の文字がでる。

全体に無駄なく展開していく物語は、サスペンスのおもしろさを伝えてくるが、スパイス的なエピソードがすべて、謎を隠して進むので、前半は、眠くなってしまった。おそらく、後半で、一つ一つ明らかになり、エンターテインメントを高めてくるのだろう。