くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「イントゥ・ザ・ウッズ」

kurawan2015-03-24

ブロードウェイの人気ミュージカルを実写映画化したなりもの作品。監督はロブ・マーシャルだから、ちょっと期待の一本。

冒頭部分がとにかくいい。フルミュージカルですべてのせりふを歌で表現しながら、主人公の、子供のいないパン屋の夫婦が、隣に住む魔女に、子供を授かりたければ呪いを解かないといけないといわれ、「赤ずきん」の赤いマント、「ジャックと豆の木」にでてくる真っ白な牛、「塔の上のラプンツェル」の赤い髪、「シンデレラ」の黄金の靴(?)を手に入れることになる。

というか、それら四つの話が、それぞれフルコーラスでうたいまくり、それぞれの主人公が森に入っていくオープニングがすばらしい。

のだが、後半から終盤、物語がどうどう巡りのようになって、やがて混沌として、エンディングにこじつける下りが、映画としては無理がある。元の舞台劇なら、これはこれで見せられると思うが、映画のメリットを生かし切れていないと思う。

赤ずきんがやたらパン屋のパンをつまみ食いする出だしから、ちょっと、普通のファンタジーじゃないとわかるのですが、シンデレラを捜す王子がパン屋の人妻とキスしてみたり、ジャックと豆の木の巨大豆から降りてきた巨人の女が、夫をジャックに殺され、復讐に降りてきたり、シンデレラが、パン屋の夫に心を動かされたり、と俗っぽいクライマックスへ向かうあたりは、やはりアメリカ劇だなと思う。

シンデレラにでてくる意地悪姉妹に靴を履かせるために、かかとやつま先を切り取るなどというグロいシーンもあるが、これは原作を再現したものかとも思える。

それぞれの主人公が森に入って、それぞれのお話を演じて、までがいいが、そこからパン屋の夫婦と絡んでいくあたりが実に弱い構成なのである。しかも、花になる女優が光っていないし、どうも鮮やかさにかける気もする。

いったんハッピーエンドになってから、巨人が降りてくるという最後の展開とのバランスが悪く、ハッピーエンドで、この映画の尺を使いきった気がするので、くどく感じる。

ラストの巨人のエピソードも引き立たず、魔が潜む森の物語というテーマがもう一つ迫ってくるものがなかった。なぜ、メリル・ストリープの魔女が消えたの?ラプンツェルたちはどうなったの?とさりげない疑問も残し、やたら長い作品に感じてしまいました。