くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「画家モリゾ、マネの描いた美女 名画に隠された秘密」「反

kurawan2015-06-24

「画家モリゾ マネの描いた美女 名画に隠された秘密」
非常に普通の映画である。その原因の一つが主演のモリゾ役をしたマリーヌ・レルテリムの個性の薄さによる。彼女が引き立たないために、姉や両親、周りの人物との境目が見えない。マネとの出会い、自分の絵画への思いなどが引き立ってこない。もしかしたら演出の弱さにあるのかもしれないが、この点が、ただでさえ、一般に知られていない人物を題材にしているだけに残念な出来映えでした。監督はカロリーヌ・シャンプティエという人である。

映画は、マネの描いた斬新な裸婦の絵が話題にあるサロンでのシーンから始まる。そこで、主人公で画家でもあるベルト・モリゾはマネの際だった独創性に惹かれるが、彼女の魅力にマネも惹かれ、彼女をモデルにしたいと申し出る。そして完成されたのが「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」である。この場面が、全体のかなり早いところででるので、その後が持たない。ストーリー構成のミスといえなくもない形になる。

マネの才能に惹かれる一方、自分の絵画に模索するベルト・モリゾだが、彼女を認める人物もいた。印象派が世に出るきっかけになる絵画展をクライマックスに、モリゾが自分の絵画を模索する姿が描かれていく。

最初にも描いたが、際だつものが見えない一本で、その意味で、物語は平凡に見えてしまう。何か物足りないものがある映画でした。


「反逆児」
伊藤大輔監督の代表作の一本を見る。さすがに圧倒される時代劇の傑作でした。小気味良い展開とスピーディなリズム、さらに大胆なカメラワークが生み出す重厚間と迫力、これこそ、映画黄金期ならではの醍醐味です。

映画は、徳川家康の息子信康の物語。織田信長の援軍を待つ徳川軍は武田軍に苦戦している合戦シーンから映画が始まります。そして、信康の見事な戦法で勝利した徳川軍ですが、一方で、今川義元の血を受け継ぐ信康は信長の策略もあり、最後は家康に家をとるか、妻と息子をとるかの選択を迫り、信康は自害することになる。

クライマックスの切腹シーンは、様式美の極みであり、これぞ時代劇の真骨頂を見せてくれる。その迫力と親子愛に、胸にこみ上げる感動が最高潮になるという演出のすばらしさに、今更ながら伊藤大輔の力量に感服してしまいます。

今となっては、こういう時代劇を作ることはないだろうし、作ることもできないだろう。でも、今こそ必見の一本であることは間違いない、そんな名作でした。