くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ターナー、光に愛を求めて」

kurawan2015-06-26

いい映画であるが、いかんせん、長い。

確かに、ターナーの絵を思わせるような見事な風景カットが随所に挿入され、うっとりと引き込まれるが、これだけで二時間以上の長さを引っ張るのには無理があった。しかも、ストーリーはきわめて地味だし、主人公のターナー自身もそれほどの劇的なキャラクターでもないのだから、よけいに長く感じてしまう。監督は巨匠マイク・リーである。

映画は、夕日のシルエットに浮かぶ風車、彼方から歩いてくる人物、一人の男がなにやらスケッチをしている、というきわめて絵画的な映像から始まる。

光の画家としてすでに名声を得ているターナーは、すでに成功しているが、さらなるインスピレーションを求め、旅をし、恋をし、独特の世界を描いていく。しかも、終盤では写真にも興味を示し、いずれ訪れる、写真から絵画を起こす時代の到来も予見する。

しかし、あまりに時代を先読みした彼の絵は次第に賛否が分かれ始める。

物語は、一種独特の立ち居振る舞いで、まるで頑固爺のようなキャラクタであるターナーの姿を描き、やがて、晩年から死を迎えて映画が終わる。

最初にも描いたが、港に浮かぶ船のショットや、ハッとさせる風景の映像が見事であり、その場面だけでも切り取りたい衝動に駆られる。作品自体は、決して凡作ではないのだが、もう少し短くても良かったのではないかと思えるのです。