「ピクニック」デジタルリマスター(ジャン・ルノワール監督版)
映画史上もっとも美しい映画として、未完成ながら語り継がれる名作。なんといっても、有名なブランコに乗る女性をカメラがしたからとらえる映像は目を見張るものがあります。
流れる水面をバックにしたタイトルバック、そして、画面に釣り竿がインサートインして映画が始まる。橋の彼方から、パリからやってきた家族。川辺でピクニックをする計画だ。
草むらに設置されたブランコに娘が乗る。その様子を村の若者がみている。彼女をものにしたという二人。
娘と母親をボートでの船遊びに誘い、娘と体を合わせる。そして数年後、娘はそのときの男と結婚するも、別の男性と、思い出の草むらで一緒にいるのを、夫が見つめてエンディング。この後どうなるかは、未完成故に想像できない。
川の流れ、空の雲、雨の滴、ウグイスのカット、森の木々など、美しいカットが次々と挿入され、音楽に乗せて画面が展開するリズム感がすばらしい。
冒頭、男たちが窓を開けると、そこに娘と母親がブランコに乗っている。同時に音楽がパットはいる。この導入部は見事である。
一つの詩編のような映像作品で、全体が完成されていたら、さぞすばらし一本になったでしょうが、非常に残念。正直、ジャン・ルノワールの芸術性は、まだまだ理解するには未熟だが、さすがにこの映画の美しさは理解できた。
「ラブバトル」
ひたすらののしりあい、殴りあい、暴れて、お互いの愛を確かめ合う。それはわかるが、だから何だ。そんなに暴れたいなら、好きにすればという感じの映画だ。監督はジャック・ドワイヨンである。
軽いタッチの音楽に乗せて、一人の少女が道を歩いてくる。そして、一人の中年の男のところにくる。彼女は、父親が死んだという。そして、その遺産分けにピアノを希望するが、兄がもらうことになったといわれ拒絶される。あげくに、相続人からはずされる。その不満をぶつけるように男に殴りかかる。
最初は、罵声のぶつけ合いだったが、次第に殴りあいになり、最後は、森の中の水たまりの中で全裸になり抱き合う。これが愛の形だといわんばかりだが、こういう演出は、いかにも、芸術家だといわれているようで好みではありませんね。
確かに、入念なリハーサルと、徹底した振り付けで行われるバトルなので、決して、その場限りの適当な映像ではない。それは、みていて伝わってくるし、非常に性的な興奮も味わう。しかし、結局、行き着く二人の恋の完成が、部屋の中での暴力的なSEXでエンディングというのは、いかにもだなと思うのです。
確かに映画は、それなりのクオリティがあるし、評価されるべきでしょう。でも好みではない一本。ただ、少女役のサラ・フォレスティエがキュートでかわいいのが唯一の救いだった。