くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アフリカの女王」「不倫」(若尾文子主演)

kurawan2015-07-20

アフリカの女王
典型的なアメリカン娯楽映画で、シンプルで、まっすぐなストーリーに、絶妙の会話劇と、男臭いドラマを盛り込んで、軽いタッチで仕上げていく。監督はジョン・ヒューストン。午前10時の映画祭でみることができた。

終始、主人公チャーリーとローズの船の中でのドラマである。

1914年、アフリカの奥地で戦況活動をしているローズ夫婦、定期的にアフリカの女王という名の汽船で郵便物などを届けるチャーリー。

ある日、ドイツ軍がこの村にやってきて、原住民を捕獲し村を焼く。ショックで気が触れて死んでしまったローズの夫を埋めて、チャーリーとローズは川を下り、ドイツの砲撃船に一矢報いようと、アフリカの川を下っていく。

おとなしいはずのローズが見る見る、活気に満ちて冒険心に心が躍っていく姿、それに翻弄されるチャーリーを好対称に軽い会話を繰り返しながらの冒険ドラマである。

たわいもないといえばたわいのない一本だが、肩の凝らない演出と、物語が安心を持ってみられる。

今となっては、あまりにも地味に見えるアドベンチャーとはいえ、名優二人の掛け合いのおもしろさを堪能できる一本でした。


「不倫」(若尾文子主演)
宇能鴻一郎原作のドラマであるが、なかなかおもしろい。監督は田中重雄である。

若尾文子江波杏子の女同士の戦いに川崎敬三が翻弄されているのか、実は若尾文子扮する聖子が一番のくせ者なのか、その微妙な色合いのどろどろしたドラマが、ものすごくサスペンスフルで、わくわくするのである。

これは、下手な役者が演じると、とてもここまで迫真のストーリーにならないのだろうが、さすがに名女優二人の戦いは、とにかくおぞましいほどにおもしろいのである。

結婚を約束して聖子の体を奪った作家の佐分利は、愛人の麻樹とも体の関係になる。最初はふつうの三角関係だったが、聖子が麻樹を呼んで三人で暮らすといい始めてから、どんどん物語は、奇妙な展開になる。

最初は佐分利が舵を取っていたはずの三角関係は、いつの間にか聖子が主導になり、とうとう、麻樹さえも、まんまと聖子の策略にはまった感じでエンディング。

なかなかのサスペンス感で、一時も目を離せない佳作でした。おもしろかった。