くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ピクセル」「真空地帯」

kurawan2015-09-14

ピクセル
クリス・コロンバス監督らしい、軽いタッチのアメリカンコメディでした。「ゴーストバスターズ」のテレビゲーム版というノリの作品で、なんの変哲もない、特に驚くような作品ではなかったけど、これはこれで遊び満点で楽しめました。

映画は1982年、ゲームセンターのビデオゲームの大会に始まります。その世界大会の様子をテープ録画して宇宙へ飛ばしたのですが、何を勘違いしたか、それを見たエイリアンが地球にゲームキャラをエネルギーに変換して攻撃してくる。

すでに大人になっておっさんになったかつてのゲームオタクたちが、子ども時代の才能を発揮して、エネルギー銃で破壊してまわり、ゲームクリアするごとく、最後はエイリアンの母船の中でドンキーコングというボスキャラを倒してハッピーエンド。

とまぁ、完全に「ゴーストバスターズ」、ダラダラしたラブストーリーやめんどくさい政府組織の面々、しかもゲームオタクの主人公の知り合いが大統領というお遊び満載のキャラクター設定に、セリーナウイリアムスやパックマンの生みの親を登場させて、遊び心満載で、かなり適当な物語が進む。

ストーリーの構成は、ゲームキャラとの戦いというエンターテインメント部分とアメリカンギャグ満載のおふざけシーンが半々くらいで、正直、若干だるい。徹底的に戦闘シーンを中心にして、メリハリをつけたらある意味面白かったかもしれないけど、これが作風ならこれはこれで良かったのでしょう。

3D作品なので、バトルシーンが見せ場だと思うけど、そこが半分足らずというのは、いかがかなぁ。まぁ、娯楽映画だからこれでいいか。


「真空地帯」
ほぼ30年ぶりに山本薩夫監督の名作を見る。
さすがに見事な人間ドラマ、社会ドラマである。個人的に好きな映画ではないものの、その重厚感には頭が下がるのも事実です。

映画は昭和19年1月、大阪の軍隊従軍地にはじまる。彼方に見える大阪城、そして大阪空襲が目前に迫った歴史的な一瞬が舞台である。

いつ野戦に送られるかとビクビクしながらの軍隊生活の中に、上官にはめられて2年3ヶ月の刑務所暮らしを終えて主人公の木谷がやってくるところから映画が始まる。

上官によるいじめのや古参兵からの虐待で始まる物語ですが、物語が進むにつれて、軍隊内部の腐敗が表立ってくる。

やがて、信頼していた上官さえも、自分を裏切っているにつけて、脱走を計画。しかし、塀の外に出ることなく捕まり、やがて、目的地に着くことさえ不確かな南方への船に乗る姿でエンディング。

反戦でも史実描写を中心にしたわけでもなく、一人の人間が、軍隊組織の中で、汚れた人間の真実に向き合って押しつぶされていく姿を、見事な演出で見せたこの映画の値打ちは、やはり日本映画史に残る一本と評価して間違いないと思います。