くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「5月の後」

kurawan2015-11-25

昨日見た「冷たい水」の続編的な色合いの作品で、主人公はジルである。とはいえ、バックの年代はほぼ同じ時期なので、続きの話と言っても、見方によれば、オリヴィエ・アサイヤス監督が別の視点で同じ頃を描いたと取れなくもない。

「冷たい水」とは違い、少しカメラワークは流麗になり、細かいカットは少ないが、感性に彩られた長回しが美しい。感性で演出されるこの監督の個性は、どこか詩的でさえ思えるから素敵ですね。

学生運動に奔走するジルとその周辺の学生たちの物語で、ロックが流れ、酒とドラッグ、そして恋とSEXが描かれていく。個人的には「冷たい水」の方がみずみずしい青春映画という感じで、好みですが、こちらの作品も、美しいカットがふんだんに使われ、自分たちの運動に遮二無二突っ走る主人公たちの姿は実に初々しい。

ただ、監督の学生運動への視点は、かなり辛辣であり、その意味で、ちらほらと挟まれる厳しい台詞に監督の考え方が垣間見られる。

終盤に、クリスティーナも登場するのですが、正直、女の子の区別がつかなかった。視点があちこちにふられすぎるように思えるからです。

でも、さすがに平凡な一本ではないし、オリヴィエ・アサイヤスの魅力を楽しめる映画でした。