「花嫁人形」
1919年のサイレント映画なのですが、とにかくテンポが良くて、出だしからエンディングまで突っ走っていく感じで、退屈しない。
花嫁人形だと思っている主人公と、実は人間なのだが、人形のふりをするヒロイン。絶妙の掛け合いに、周りの人たちとの絡みが入ってきて、ポンポンと物語が進んでいく様は絶妙。
時折挿入される舞台装置のような書き割りの鳥や、林のセット、自由自在に入れてくるコミカルなシーンなど、どの一部を取っても無駄なくお話を盛り上げてくれる。
本当の才能のなせる一本だなと納得しました。エルンスト・ルビッチ恐るべしかも。
「牡蠣の王女」
大金持ちの娘が、結婚相手を探すドタバタ劇を、テンポ良い展開で見せるエルンスト・ルビッチ監督のコメディの傑作。こちらも、無駄のないストーリー展開と、ノリで突っ走る面白さが絶妙で、間というものがないのかというくらい楽しい。
大げさに描かれる金持ちの屋敷や執事たち。皮肉にも見えるシーンもふんだんに笑いに変え、次々と飛びだすエピソードに翻弄されていく。
何がなにかわからないほど、笑いのセンスが見事なもので、サイレント映画なのですが、バックの曲に映像が飛び跳ねる感じです。
お話自体はたわいのないものですが、映像センスの面白さで、画面に釘付けにしますね。面白かった。
「NOISE」
オリビエ・アサイヤス監督が、アートロックフェスティバルを演出した、ドキュメンタリーである。
これという話はなく、ただ、舞台のシーンが続く。特に変わった映像演出があるわけではないが、やはりオリビエ・アサイヤスの画面だと思う。
ステージの合間合間にオーバーラップで重ねた映像を挿入する画面は、やはりアサイヤスである。
でも、ドキュメンタリーを見ない私には2時間は長かった。オリビエ・アサイヤスでなければ見ない一本。