「orange オレンジ」
宣伝を見た感じでは、ちょっとキュンとくるラブストーリーかと思って見に行ったけれど、映画としては本当に凡作。物語が薄っぺらいのは原作があるから仕方ないのですが、それを映像にするにあたり、いや脚本に焼き直すあたりで、もっと作り方というのがある。そこが、脚本家や監督の才能の見せ所なのだが、その片鱗も伺えないのはちょっと残念。監督は橋本光二郎。
物語は、主人公高宮菜穂のカバンに、いつの間にか入っていた10年後の自分からの手紙。そこには、間も無くクラスメートになる成瀬翔を救って欲しいという内容がかかれていた。
ファンタジックなオープニングなのですが、何の工夫もなく、菜穂のつぶやきで物語が進んでいく。もちろん、手紙の内容が現実になり、そして、手紙の最後に書かれている10年後に翔が死んで、この世にいないという悲劇を回避するために奔走しだす下りは、物語として常道とはいえ面白い。そして、友達を巻き込みながら、未来を変えるべく行動しようとする菜穂。ところがこれがいけない。どうにも積極性にメリハリがないので、つぶやきと行動がほとんど同レベルの展開になる。
だから、変わっていくという感動が見えない。途中で先輩女子とのトラブルなどありきたりの無駄なエピソードも挟まれ、さらに10年後の菜穂たちの姿を交互に入れ、後半へなだれ込むまでに、かなりワンパターンになってしまうのが、後半の展開をも潰してしまった。
実は手紙は菜穂の未来の夫の須和にも届いているという後半部。そして、友達全員で翔を助ける展開へ行くのだが、感動がどんどん盛り上がるべきが、翔役の山崎賢人の存在感のキャラクターが弱く、土屋太鳳も、しつこいほどに内気なキャラの徹底が結局、原作の弱さがそのまま映画の欠点になってしまった感じ。つまり演出が良くないのである。
未来が手紙と少しづつ変わり、翔が死なないでハッピーエンド?かもしれない別のパラレルワールドができてエンディング。
だらだら退屈はしないのですが、それは、あれ?また次のエピソード?と、とめどなく流れる展開に翻弄された感じの結果かもしれない。損をしたとは思わないレベルですが、見なくてもよかったかなという映画でした。
「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」
約10年後の完成を目指す、バルセロナの世界遺産、サグラダ・ファミリアを描いたドキュメンタリーである。本来、ドキュメンタリーは見ないのですが、人生最後に、このサグラダ・ファミリアを見に行くつもりをしているので、その下知識のため見に行きました。
映画は、普通のドキュメンタリーで、特に変わったものもなく、普通に捉えていく。その意味では物足りなかった。もう少し建物内部の、外観の全景を見たかったのですが、巨大というのもあり、難しかったのでしょうか。
しかし、終盤で捉えた内部の巨大な空洞や彫刻、ステンドグラスはさすがに圧巻。ぜひ見て見たいという衝動に駆られました。