くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「四十八歳の抵抗」「新婚日記 恥しい夢」「新婚日記 嬉しい

kurawan2016-01-27

「四十八歳の抵抗」
吉村公三郎監督、新藤兼人脚本ということだと、かなりの期待で見ましたが、なんのことはない、ホームドラマを仰々しく作ったという感じの一本で、導入部のちょっとブラックな空気が後半、どんどん薄れていって、ラストは、音楽だけが際立って終わるというエンディングでした。

主人公の男性は歳も四十八歳、当時ではすでに隠居に近い年齢の実直なサラリーマン。今まで女遊びなども知らないままだが、一人の悪魔的な部下に誘われて、不可思議な世界に入り込んでいく。

一方で娘の彼氏が学生で、親の反対を物ともせずに反抗していく物語も並行する。

恋人同士がキスをしているオープニングから幕をあけるこの作品、おそらく、かなりの面白い作品になりそうなイメージから、しりすぼみになって行くのが本当に残念な出来栄え。

もちろん、吉村公三郎の、大胆に俯瞰で捉えたり、回転するカメラ演出は特に前半際立つし、新藤兼人のどこか毒のあるストーリー展開は一味違う面白さを見せるが、後半にその勢いが持たなくなって行く。

娘の結婚を許し、自分を導いた不気味な部下は、ただの大会社の御曹司だったという落ちはちょっとありきたりすぎてもったいない。オープニングの怖さを最後まで貫いたらかなりの作品になったろうにとも思える映画でした。



「新婚日記 恥しい夢」「新婚日記 嬉しい朝」
本当にたわいもないコメディ。
九州で親の反対を押し切って結婚した夫婦が、夫の転勤で東京へやってくるところから始まり、新居で迎えるドタバタ劇を描く前半、そして、家を変わり、またまた繰り返すドタバタ劇から、無事、二人きりで親にも認められ、ようやく新婚生活をまともに踏み出すことになりエンディングを迎える後半となる。

監督は田中重雄、脚本に笠原良三が参加したりしているものの、本当に、なんの変哲もない映画です。それぞれ40分余りなので、二本同時に上映されました。



「花嫁のため息」「新妻の寝言」
先に見た二本と同様に、新婚夫婦が予期せぬ来訪者に翻弄されるドタバタ喜劇。監督は木村恵吾である。

「花嫁のため息」は貧乏長屋での結婚式の場面に始まり、そこへ、マイペースな先輩が訪ねてきたり、田舎の恩師が訪ねてきてのドタバタ劇。続く「新妻の寝言」は、新妻の父親の女遊びに絡んでの新婚夫婦のドタバタ人情ドラマである。

テンポのいい展開は、こちらの二本のほうが軽快で、面白かったが、とにかく、気楽なプログラムピクチャーの作品で、それでもさすがに映画全盛期、登場人物が脇役に至るまで、しっかりした俳優が出演しているから、作品が落ち着いている。

こんな機会がなければ見ることはない作品という意味でも、楽しいひと時でした。