くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「クーパー家の晩餐会」「マギー」

kurawan2016-02-22

「クーパー家の晩餐会」
いや、期待してなかったのですが、無茶苦茶に良かった。はまってしまいました。群像劇の傑作という感じの映画です。今のところ今年のベストワンかも。

物語は、アーサー家のクリスマスイブの日の1日を描いているストレートな映画です。とっても心地よい音楽で幕を開け、美しい雪景色にまず目を奪われます。そして、アーサー家のクリスマスに、毎年集まる面々の紹介と、今年もまたというセリフ。愛犬がいて、登場人物の今と昔が軽妙なリズムで紹介される。しかも、ウィットとユーモア満点に、きめ細かな演出で彩られるから素敵。監督はジェシー・ネルソンです。

11人四世代のクーパー家に今年も面々が集まってくる。しかし、当主のアーサーとシャロットは離婚間近。アーサーはアフリカに行きたいという目標があったが妻に拒否され、年老いた母はそんなアーサーを知ってはいるが、どこかボケ気味。アーサーの父バッキーはいつも行くカフェで知り合ったルビーに密かな恋心を持っているものの、老齢を迎え、やや寂しげ。娘のエレノアはバッキーの主治医と不倫関係だが、母シャーロットに嫌な顔をされたくないために、空港で知り合った軍人ジョーに一夜の恋人になってもらう。シャーロットの妹のエマは姉のクリスマスプレゼントを万引きして警官に捕まり逮捕される。その他アーサーの子供達の愛くるしいエピソードをスパイスのように挟み込んで、どんどん物語が綴られて言う。

時々、クリスマスの雪景色のファンタジックなシーンやちょっとしたユーモアが挟み込まれ、いつの間にか、物語はどこかとってもハートフルなラブストーリーへと昇華し始める。

そして、みんなが一堂に集まり、エマの偽恋人は本物のフィアンセに変わり、アーサーとシャロットはどことなく若い日を思い出すし、バッキーが知り合ったルビーはバッキーに誘われ晩餐の席へ。そこで、失業したまま言い出せないハンクと知り合って、急速接近する。

微に入り細に入った細かいエピソードやシーンが見事に最後に結実していく様が本当に素敵で魅力的。ラストは、家族それぞれが病院でダンスをして物語は大団円へ。もうたまらないほどに心があったかくなります。犬が各家を眺めながら幸せなひと時だと見せるラストシーンがとってもいいです。本当にいい映画に出会った気がしました。


「マギー」
なんと、アーノルド・シュワルツネッガーとアビゲイル・ブレスリンがでているゾンビ映画。しかも、なぜかわからない伝染病で作物から感染したひとは人肉を求めるゾンビのようになってしまうという話なのに、その病気が発症するまでは家に帰ってもいいという医師や警官があって、剣尖した娘マギーを連れ帰る父ウェイド。監督はヘンリー・ホブソン。

物語はそうして始まるが、あとは、ただマギーが発症するまでを淡々と描いていく。それ以上も以下もない。アクションもスプラッターもこれといってない。だったらなんなの?という展開で、最後は、とうとう発症したマギーが屋根の上から自殺してエンディング。

というわけでなんだったのという一本だった。出演者がビッグすぎるだけに、その違和感が最後まで拭えないまま、何かがあるだろうという期待感で最後まで引っ張る作品。ただそれだけの映画でした。