「のぞきめ」
久しぶりにお金を捨てたような映画に出会いました。とにかく、テレビドラマでももう少しマシなものができるだろうにと思う一本。始まった途端板野友美の棒読み下手くそ演技に完全にノックアウトされ、そのあとの適当すぎるストーリー展開に唖然とさせられ、そのままラストに持ち込むという脚本の荒さに、ひたすら耐えながら、ラストで、吹き出してしまいました。ホラー映画で眠くなるというのも大したものです。監督は三木康一郎です。
映画は、一人の男が部屋中にガムテープを張っているシーンから始まる。貼り忘れた小物ボックスの穴から目が覗き、絶叫したところへ、主人公彩乃のカット。板野友美の棒読み演技から映画が幕をあける。
ある村に出かけたカップルがのぞきめという化け物に取り憑かれ、死んでいくというのがホラーのネタなのだが、その怖さがほとんど出ない。原作があるのだが、原作を映像としてイメージできていないのだろう。演出もありきたりで、その上、何度もいうが板野友美が下手くそすぎて、とにかく白けっぱなし。
どうやら、今はダムの底に沈んだ村の村人の一人が、かつてお遍路を斬殺して金を奪ったためにその呪いがあるのだという。惨殺された親子の娘が、何やら見つけて欲しいような思いを投げかけるため、呪われたようになるのだそうだが、その解決のため出かけた彩乃が、土の中に引き込まれ、死んでしまう。
彼女のフィアンセだった男は、自ら目を潰し、病院にはいっていたが、彩乃の生前、婚約指輪を渡せぬままになっていた。彩乃が死んで1年後、この男は作家デビュー。窓の外に彩乃が化けて出て「いつくれるの?」と指輪を催促してエンディング。って爆笑ネタやろ。
原作がどの程度のものかしれないが、あまりに稚拙なホラーにあっけにとられてしまいました。最悪です。
「あやしい彼女」
韓国映画「怪しい彼女」のリメイク版ですが、オリジナルを超えなかった感じですね。韓国版はもう少しキレがあった気がしますが、日本版は少しテンポが悪いし、韓国版の欠点をカバー出来ていませんでした。でも多部未華子は最高にキュートだし、おそらく彼女が出てなければ、持たなかったかもしれません。監督は水田伸生です。
映画は、毒舌の主人公の老人から映画が始まります。ただ、この倍賞美津子がとにかく良くない。確かに、老いぼれでないといけないのだが、やたらしょぼくれすぎてリアルすぎて、毒舌を吐ける活気がない。しかしその導入部を我慢して、多部未華子が登場すると、映画がなんとか息を吹き返し始める。あとは、彼女の存在感だけで映画が引っ張られる感じである。
物語は、オリジナル版とほとんど変わりなく、「ローマの休日」をモチーフにしたシーンをちりばめながら、孫の作っているバンドで歌を披露していく展開となる。ただ、昭和歌謡が流れると、なかなかこれが涙を誘うのだから、さすがに、ここは韓国版では味わえない感じです。
そしてフェスティバル出演の日、孫は交通事故に遭い、その輸血のために血を与えることになり、元に戻るのを覚悟で輸血する。
ところが元に戻ってみると、カツに気のある銭湯の親父がカツと同じ写真館で若返り、彼女を迎えに来てバイクで去っていく。韓国版はこの最後の処理がうまかった。
とにかく、多部未華子ありきの映画である。しかし、彼女、どんどんいい女優に育ってきたなぁと思います。すっかりファンになってしまいました。