くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ちはやふる 下の句」「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」

kurawan2016-05-03

ちはやふる 下の句」
前半は競技シーンを中心にしたスピード感あふれる展開なので、なかなか面白かったが、後半は、当然ドラマ性が中心になるので監督の力量が目の当たりになる。とはいえ、それほど退屈にはならなかったのはやはり広瀬すずの存在感と松本茉優の魅力が際立ったからでしょう。監督は小泉徳裕です。

「上の句」で全国大会出場を決めた千早たちが、そのための稽古に励む場面がストーリーの中心になるが、そこに、若宮詩暢が登場。クィーンとして燦然と君臨するこの天才に引き込まれる千早を通じて、メンバーの団体戦のドラマが展開する。

クライマックスは全国大会での健闘と、そのあとの個人戦で詩暢と対戦した千早の場面で締めくくりとなる。

原作が連載中なので、どうしてもこういう終わり方になるとはいえ、手際よく処理されていたと思います。でも、さすがに人間ドラマ中心の展開になると、終盤までがちょっとしんどい。しかし、出演者たちの頑張った演技で、それが伝わってくるからなかなかいい。これが青春映画の見どころの一つかもしれません。

前半ほどの仕上がりではないとはいえ、前後編よくまとまったと思います。面白かった


「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」
今から旬の脚本家古沢良太のオリジナルなので、ちょっと期待、しかも大好きな金子修介監督作品なので、かすかに期待もあったけれど、びっくりするほどにつまらない映画だった。とにかく、クライマックスがしつこくてしつこくて見ていられない。しかも、野村萬斎以下のキャストがとにかくしょぼい上に、下手なので、全然話が盛り上がらない。久しぶりに呆れるほど退屈な映画でした。

一人の少女が何やら外で遊んでいる子供たちを見る何かありげなカットの。続いて、秋山亜美がピアノの練習をしている場面。その先生雪絵が夜道を帰る途中で拉致されるカット、芸人の丸山が売れない芸をしていて、事務所でふてくされているところへ亜美がやってきて、丸山の相方の、ものを通じて思念を読み取る仙石を紹介して仕事をして欲しいと依頼するまで。本来スピーディな導入部が、誰も彼も間延びしてだらけている。しかも野村萬斎扮する仙石がいかにも、お芝居になっていない。

で、犯人が追い詰められていくミステリーが面白ければいいが、それも今ひとつテンポが悪い。さらに、真犯人が若手刑事の佐々部とわかってからのダラダラ感が最悪。

亜美と雪絵の師弟関係の話が絡み、さらに、雪絵のペンダントを発見したのが仙石だったとか、いろいろエピソードの羅列が続く。結局、篭りきりだった仙石が気持ちが晴れてエンディング。

って一体なんなのという感じの映画だった。旬の古沢良太の脚本に誰も文句言えなかったのだろう。これが、駆け出しの脚本家なら、ここはこうしたほうがという意見が言えたのに、下手に偉くなったために、失敗作も鵜呑みで製作したんだなという感じの映画でした。