くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハロルドが笑う その日まで」

kurawan2016-05-04

「ハロルドが笑う その日まで」
ちょっと、北欧のユーモアセンスとずれがないわけではないけれど、散りばめられるさりげないコミカルなシーンにくすっと笑いながら、最後までほんのり癒されるハートウォーミングな感じで見ることができました。監督はグンナル・ヴィケネです。

ノルウェーで40年近く老舗の家具店を経営するハロルド。その隣に、世界的な家具グループIKEAが開店するところから映画が始まる。そして、半年、ハロルドの店は父さん、家具全てが処分される。ハロルドの店の窓からIKEAのネオンが煌々と輝く画面作りが皮肉たっぷりで面白い。

さらに、妻も体調がすぐれず、老人ホームに入れようとするが、突然倒れてそのまま死んでしまう。絶望したハロルドは店に火をつけ、自らも死のうとするが、スプリンクラーなどが作動して死ねない。目の前にIKEAのネオンが浮かんだのを見て、ハロルドは、全てが安物家具で世界を席巻するIKEAの社長イングヴァル・カンプラードが原因だと、彼を誘拐しようと考える。

しかし、家も居場所もわからないままに来るまで飛び出すが、一人の少女エバに出会う。彼女に教えられた家に忍び込むが、それは嘘だった。仕方なく夜道を車で走っていると、車がエンコして困っている男が、ハロルドを止める。乗ってきたのはなんとカンプラード本人。ハロルドは彼をホテルに監禁したところへエバがやってきて、奇妙な3人の物語がスタート。

エバの母親でかつて新体操のクィーンだった女性のエピソード、ハロルドとカンプラードの老人同士の掛け合いなど、コミカルな展開で物語は進む。カンプラードはといえば、何かにつけ、マスコミから批判され、嫌になっている。

誘拐と言っても誘拐にもならず、結局、カンプラードを解放。
クリスマスイブ、ハロルドはエバの母親の華麗な演技を雪道で見せてもらい、息子ヤンの元を訪れて映画が終わる。

全てを失ったハロルドが、カンプラードやエバ、エバの母親などと出会いながら、誰も彼もが悩みがあるものなのだと自分を見つめ直し、再出発するが心あたたくなるラストシーンが素敵。こういう映画はやはり北欧ですね。たわいない一本ですが、いい映画でした。