くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「追憶の森」「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」

kurawan2016-05-05

「追憶の森」
ガス・ヴァン・サント監督が日本の精神世界に挑戦した感じの一本で、そのチャレンジ精神はわかるのですが、正直、掴みきれていないのか、終盤までがとにかくしんどい。まぁ、舞台が青木ヶ原というのもあるが、周りの景色がひたすら森ゆえなのかもしれず、ただ耐えるだけの物語。

とはいえ、ラストの収束はそれなりの感動を呼ぶのですが、やはり、ガス・ヴァン・サント監督は掴みきれていないのではと思う。

主人公アーサーが日本へ旅立つ場面から始まる。到着した東京から、富士の裾野青木ヶ原の樹海へと踏み込んでいく。立ち入り禁止の場所をくぐり、さらに奥に入っていくから、明らかに自殺志向である。

一人、水で何やら薬を飲むシーンに続いて、向こうに一人の日本人男性の姿が見え隠れする。アーサーはその男を見つけ、助けるために行動を共にし始める。途中、首を吊っている死体や、様々な白骨死体を見ながら、寒さに耐え、ひたすら出口を探し始めるのだ。

男の名はタクミといい、樹海に入って道に迷ったのだという。アーサーはタクミを助けるために必死で道を探すのだが、その展開の中でアーサーの過去がフラッシュバックされる。喧嘩ばかりしている妻のジョーンの姿から、妻に腫瘍が見つかり、その手術、そして良性とわかり、療養のために別の病院へ行く途中で、救急車に車が激突し、妻は死んでしまう。どうやらその絶望から、青木ヶ原にやってきたらしい流れがはっきりしてくる。

やがて、テントを見つけ、力尽きたタクミを残し、助けを求めに一人発つアーサー。そして、救出され、全快するが、タクミを探すために再び樹海へ。そこで見つけたのは、タクミにかけた自分のコート。それを取ると、石の上に、かつてタクミが言っていた、魂が旅立つときの花が咲いている。タクミが残した「キイロ、フユ」という言葉は、日本語の色と季節だと知るアーサー。

タクミは、どん底で前に進む道をなくしたアーサーを再生させるために現れた妻ジョーンの魂だったのではないか。そういうラストシーンが、実に感動的なのですが、いやそう訴えるエンディングなのですが、どこか弱いのです。もしかしたら、何もかもが、アーサーの幻影だったのかもしれない。そんな解釈も成り立つような映像なら見事という出来栄えだったかもしれませんね。並の映画とは言えないまでも、ずば抜けた作品とも言えない一本だった気がします。


「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ
例によって、マーベルコミックのヒーローたちが所狭しと暴れまわる娯楽映画、特にこれという変わったところもない。ただ、ヒーローたちがお互いに戦うと、どうなるかというのを、取って付けたエピソードをきっかけに描く。全く、エンターテインメントを作る方法を忘れたのかと思わせるような映画である。
監督はアンソニージョー・ルッソである。

1991年、氷に閉ざされた要塞でウインターソルジャーが作られていた。というエピソードに始まり「バットマンVSスーパーマン」のように、正義のために戦っている反面、市民を犠牲にしているという背景をストーリーの中心にしている。

結局、アベンジャーズを政府の管理下にするという協定が実行され、そこに降って湧いた次の事件に、独断で戦いに行くメンバーと協定を守るメンバーとのバトルが始まる。スパイダーマンアントマンまで飛び出してのなんでもあり状態の戦いがクライマックスで、まぁ、お互い何をやっても死ぬことがないのだから、プロレスの試合みたいなものである。

で、事件は何気なく簡単に解決され、アベンジャーズは分裂したようなそうでないような流れでエンディング。

まぁ、それぞれの得意技を駆使してのバトル戦が最大の見せ場で、面白いのですが、物語の構成は本当にデタラメ。まぁ、このシリーズはこれでいいのですね。そんな映画でした。