くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「マイ・フェア・レディ」「心霊ドクターと消された記憶」

kurawan2016-05-16

マイ・フェア・レディ
ほぼ40年ぶりか、全く午前10時の映画祭様様である。本当に素晴らしい。これが名作という。「ウエストサイド物語」を見たときも思ったが、やはり名作の豪華さ、感動がある。名曲の数々が流れると背筋が寒くなり、涙が自然と溢れてくるのです。

花売り娘で、下品な下町娘イライザがヒギンズ教授に銀貨を恵んでもらったファーストシーンから、むりやりヒギンズ教授の屋敷に乗り込み、そこまで言うなら私を教育してレディにしてみせなさいと啖呵を切るイライザに、最初は鬱陶しくなるも、ピカリング大佐の勧めで、ヒギンズはチャレンジに踏み切る。競馬場でのお披露目シーンでは失敗するも、その六ヶ月後、舞踏会へのデビューに至る前半部分だけでも涙が出るほどにうっとりしてしまう。そしてintermission。ここまでが約二時間、後半が約一時間です。

後半の幕が上がると、最大の見せ場の舞踏会シーン。トランシルバニアの王女が主催するパーティで、イライザは、ヒギンズ教授の知人の言語学者に詮索され、ハンガリーの王女だと思わせてしまう下り。皇太子ともダンスをし、絶頂を迎えたイライザ。しかし、帰ってきたヒギンズたちは、ただ、社交界の人々を騙したという勝利感だけに浸っている。その様子にどんどん自分がみじめになっていくイライザの姿がこの作品の最大の見せ場の気がします。

そして、家出からラストシーン、再びヒギンズの元に戻るエンディングまでが、若干くどいのがこの映画の弱点ですね。名曲名シーンが前半に集中し、後半は、ドラマ性を前面になったストーリーで締めくくろうとしていますが、せっかくの舞踏会のシーンからの大団円を手際よくまとめるべきだったのかもしれません。初めて見たときも、この後半部がしんどかったのは、私に見る目がないのかどうかはともかく、全体を通じてはまぎれもない名作です。本当に、こういう映画が最近は見られなくなりました。


「心霊ドクターと消された記憶」
ミステリーというより、ホラー映画という感じの作りになっている作品でした。面白くないわけではないし、ミステリー色も十分ですが、何か物足りなさが見える一本。監督はマイケル・ペトローニという人です。

ガラス越しに見える絵画の場面にタイトルがかぶる。続いてベッドで目覚める主人公ピーター。横には妻が眠っている。彼は心理ドクターとして患者を見ているが、去年娘のイーヴィを交通事故で亡くしている。彼が一瞬目をそらした時の出来事で、その目をそらしたものの意味が未だに不明。目をとめたのは列車のジオラマのディスプレイ。

ある雨の夜、診療室に訪問のベルがなり出てみると一人の少女がいる。一言も喋らない彼女の定期から、エリザベス・ヴァレンタインという名とわかる。ピーターは恩人のダンカンに相談するが、それは亡き娘の幻影ではないかと言われる。しかし、そのあとも彼女が現れ、次第にピーターの記憶が蘇ってくる。

少年時代、線路に自転車を置きっぱなしにし、列車が脱線したのだ。しかも、ピーターの元にやってくる患者は、すべてこの時に死んだ人たちとわかり、巡査部長のバーバラに訴える。しかし、自転車くらいで列車が脱線することはないという。バーバラの母も列車事故の犠牲者で、そのときお世話になった警官ウィリアムはピーターの父なのだ。

線路の脇に、切り替えの小屋があり、ピーターはそこで何かを見たらしいと思えてくる。ピーターがそこで見たのは、殺されようとするエリザベスで、犯人は父ウィリアムとわかるのがクライマックス。

ウィリアムは謎が解けたバーバラを拉致し、車で逃走する際、エリザベスの亡霊に阻まれ、線路上に停止。その直前、ピーターも気絶させて車に乗せていて、ピーターは放り出され、バーバラは助けるが、ウィリアムは列車に引かれてエンディング。

ピーターの周辺に現れる亡霊たちの描写がかなりホラーっぽいし、出方もホラーで、ドキッとさせられるので、ミステリー色が逆に薄められてしまった。謎解きの設定もしっかりできているのだから、少しホラー演出を控えれば上質の作品に仕上がったかもしれないなと思う。とはいえ、まぁまぁ面白かった。