くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハワイの夜」「セトウツミ」

kurawan2016-07-04

「ハワイの夜」
当初松林宗恵監督だったが、間に合わなくなり途中からマキノ雅弘監督が引き継いだ作品で、当時本当に恋愛中だった鶴田浩二岸恵子主演という映画を見る。

映画としては実に平凡で適当な作品である。ストーリーの組み立ても、演出もこれというものはないが、戦後10年ほどしか経っていない時期にハワイで撮影されたという背景は興味深い。

時は1940年、ハワイに水泳大会でやってきた鶴田浩二が現地で美しい女性岸恵子と出会い恋に落ちる。折しも第二次大戦が勃発。鶴田浩二は戦地へ行き重傷を負い、捕虜となり戻る。そして、ハワイへ輸送されてきて、瀕死の中、岸恵子と再会するも、亡くなってしまう。

これということのない映画です。古い作品という珍品としてみる値打ちの一本でした。


「セトウツミ」
大ヒットコミックの実写版。原作を読んでいるわけではないが、原作の色が映像になっている気がします。のんびりとしたコミカルな音楽を背景に流し、ドライな会話で機械的に繰り出す内海のんびりとしたセリフに、いかにもなツッコミで答える瀬戸の掛け合いの面白さを楽しめる一本でした。監督は大森立嗣です。

カメラがゆっくりと運河を奥へ奥へ進んでいく、とある岸辺のあたりに座る高校生二人の会話から物語が始まる。

乾いたセリフの中に、ウィットと笑いを突っ込んで、関西的なノリで展開するくだりがとにかくくすっと笑わせる。憧れの女性徒や目の前で佇むオッさん、頭の上がらない不良の同級生、大道芸人、夏休み、ペットの死亡などなどのエピソードがオムニバス的に展開していく。

カメラは終始二人を真正面から捉えるようで、微妙なアングルの変化や二人の立ち位置、座り位置の変更などで、動きを生み出し、リズム感を出し、淡々と語る流れがとっても心地よく面白い。

二人の出会いを、途中にはめ込み、どこか二人に共通の何かが見え隠れする不可思議さも日常を超えた面白さに結びつく。どこにでもある、誰もが経験したことがあるような何気ない高校生活の一瞬を切り取ったとっても魅力的な映画でした。