くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「祈りのちから」「シング・ストリート 未来へのうた」

kurawan2016-07-13

祈りのちから」
完全な宗教啓発映画だった。もしかしたらなと思ったがそのままでした。くどいほどのメッセージと、とってつけたようなストーリー展開、シンプルですが行き着くところ、ひたすらキリスト教の啓蒙が行われる。見る必要なかったなという感じです。監督はアレックス・ケンドリックです。

一人娘と夫と3人で暮らすエリザベス。夫は仕事一筋で家庭を顧みないし、エリザベスもそんな夫に不満の日々でいつの間にか娘のダニエルのことも顧みなくなっている。

そんなエリザベスはある日、クララという老婦人のところに営業に行き、そこで祈りの部屋というクローゼットの小さな空間を勧められる。最初は半信半疑で始めたクローゼットの中での祈りだったが、いつの間にか、事態は思わぬ方向に好転していく。

要するに神への祈りを忘れている人々への警告である。やがて、エリザベスの夫トニーも家庭に戻り、エリザベスもダニエルの心に届き、家族で縄跳び大会に出場するというクライマックスへ。とにかく、ストーリーがくどいのはそりゃ、啓蒙映画なのだから仕方ない。それ以上でも以下でもないのですが、どこか考えさせられるところもあったのは収穫だったと思います。


「シング・ストリート 未来へのうた」
「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督の青春学園ドラマ。1980年代のブリティッシュサウンドに乗っていく甘酸っぱくも爽やかなラブストーリーに酔ってしまう一本。どこか「小さな恋のメロディ」を思い出してしまいました。

主人公コナーの家族会議から映画は幕をあける。父親が失業した為、コナーは荒れた公立高校へ転校することになる。やたら暴力を向けてくるクラスメートや、何かにつけ難癖をつけていじめる校長など、いかにもな高校生活が始まる。

それでもどこかあっけらかんとしたコナーの存在感がとってもいい。楽しみは音楽好きの兄と音楽ビデオを見ることだった。
ある日、学校の帰り、モデルを目指すキュートな少女ラフィーナと出会い、一目惚れしてしまう。そして声をかけた時の流れでバンドを作り、ミュージックビデオを撮影することに。そして、ラフィーナを誘い、なんともコミカルな展開でミュージックビデオを作り始める。

やがてバンドを結成し、猛練習と曲作りが始まる。そこに校長らの様々な妨害が入るも、集まったメンバーは誰もが個性的で、とってもユニーク。

そんなる日、ラフィーナはボーイフレンドのエヴァンとロンドンへ旅立ってしまう。失意の中バンドを続けるコナーの元に、ロンドンから帰ったラフィーナが現れる。かつての派手さも輝きも失せた彼女。エヴァンと一緒に行ったもののうまくいかなかったのだという。

一方学校ではギグと呼ばれるイベントが待っていた。そこでコナーたちは、今までの鬱憤を晴らすべく、校長を風刺した曲をやり大絶賛。さらに今までいじめっこだった少年も仲間に入れる。ラフィーナを誘ったが、最後の最後の曲まで彼女は現れない。そして最後、ラフィーナが現れる。

イベントが終わり、コナーはラフィーナとロンドンへ行くことを決める。両親の船を借り、兄に港まで送ってもらう二人。金もなく、ツテもない。そんな二人の前途は予想もつかないが、小さな小舟に乗る二人。

途中巨大な客船と出会い、そのままロンドンに向かうシーンでエンディング。このラストの手を抜かない映像作りが素晴らしい。

非常にシンプルなストーリーで、ひたすら流れる音楽と彼らの演奏の熱さ、そして、誰にでも経験ある甘酸っぱい初恋や友達との物語が最後まで観客を引き込んでくれます。

「はじまりのうた」ほどではありませんが、とってもピュアで清々しいほどの青春ストーリーを経験できる一本でした。いい映画です。