くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シアター・プノンペン」「ゴーストバスターズ」(2016年版)

kurawan2016-08-25

「シアター・プノンペン
しっかりとしたストーリー展開で描くカンボジアの激動の時代を映し出す佳作。ストーリーの奥に、暗黒の時代を赤裸々に挿入しようとした真摯な姿勢がとにかく見応え十分に感じられるのです。監督はソト・クオーリーカーと言う女性です。

主人公ソポンが彼氏と遊園地ではしゃいでいるシーンから映画が始まる。軽快な音楽で女性監督らしい感性で始まるオープニングが美しい。射的場で安易に銃を撃ちバイクに乗ってソポンと走り去る彼氏。一昔前の暴走族というイメージである。ソポンの父は軍人で厳格な男で、ソポンが遊び歩いているのが気に食わない上に、勝手に夫を決めてくる。この辺りお国柄なのだろう。

そんな父に反抗し、家を飛び出して大学のそばの廃墟のような映画館に忍び込む。そこで、流されていた映画の主演女優が母の若き日とわかり、その館主に話を聞くと、この映画のラストは残っていないのだという。調べてみるとポル・ポト政権下のクメール・ルージュ時代という暗黒時代が関係していることになり、母に恋心を抱いていた館主を監督に最終巻を撮影しようと提案、ソポン自らが母の代わりに出て撮影が始まる。

しかし、監督である館主の様子がどうもおかしい。やがてクメール・ルージュ下の母と映画の監督だった男性との恋の話が明らかになり、実は館主はその弟で、母に恋心を抱いていたがかなえられそうにもなく、捕らえられた兄を映画監督だと密告した過去があった。一方母は収容所にいた軍人の今の夫との結婚の経緯も知らされる。

暗黒の時代に起こった数奇な男女の物語がストーリーの中心となり、最後は映画が完成、その披露会場がクライマックスとなる。激動のカンボジアの歴史とそれを生き抜いてきた人々の運命を描いたという意味で、非常に中身の濃い一本であり、冒頭の音楽センスや映像のリズム感を見てもなかなかの演出力がうかがえる。

面白い一本を見た気がします。


ゴーストバスターズ」(2016年版)
やっぱりアメリカ映画はエンターテインメント作りはうまいなと思います。今回のリメイク版は、とにかくセリフのあちこちに小ネタ満載で、さらに映画ネタも散りばめ、昔からの映画ファンも飽きさせない。このサービス精神は見事なものです。監督はポール・フェイグです。

物語はよくわからないし、整理もされていないし、流れもしっかりしてませんが、アレヨアレヨとゴーストバスターズが結成され、何やら悪霊をこの世に呼び寄せるような装置を作っている変人がいて、とうとう悪霊がこの世に放たれる。

そこで、ゴーストバスターズが退治してハッピーエンド。特に映像は今更珍しくもないのですが、オリジナル版キャラクターが出てきたり、「ジョーズ」とかの往年の名作映画ネタが出てきたり、散りばめられる下ネタやボケツッコミがしっかりとセリフを聞いていると楽しめます。

かなり軽いノリで作られた感じの一本で、キャストもクリス・ヘムズワース以外はほとんど話を無名ではないかと。でもエンドクレジットのあと最後の最後まで楽しませてくれる娯楽主義にちょっと好感を持ってしまう映画でした。