くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エノケンの頑張り戦術」「BFG ビッグ・フレンドリー・ジャ

kurawan2016-09-21

エノケンの頑張り戦術」
隣同士に住んでいる二人の男のお互いの意地の張り合いを中心にして展開するドタバタ劇で、サイレント映画を思わせる小気味良い動きと展開を最後まで貫いた作品。一見サイレントの様な様相で物語は始まりますが、途中で歌が出たりしてきて、トーキー作品だと気がつく。監督はなんとのちの怪談映画の巨匠中川信夫である。

隣同士で、同じ防弾チョッキの会社に勤める二人の男。何かにつけて競争をし、相手に負けじと意地を張り合う。会社でも、通勤途上でも、どんな時も相手に負けじと必死になる。

そんな二人が、意地の張り合いの結果、旅行に出かけることになり、旅行先でドタバタ劇が展開するのが本編。

同じ様なエピソードが次々と何度も繰り出され、70分ほどの作品なのにやたら長く感じる。

結局、子供が病気になったことがきっかけで、仲良くなり、一緒に帰路につくが汽車の中でまた喧嘩を始め、汽車から飛び降りてエンディング。

たわいのないというより、他の作品で見せる榎本健一の痛快な職人芸が今ひとつ光らないのは残念。面白いのですが、ダラダラして見えるのは、時代のせいか、映画のせいか。それでも珍品の一本だと思います。


「BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」
ロアルド・ダールの原作を元にディズニーが製作したいわゆるファンタジーである。そして監督はスティーヴン・スピルバーグ。ただ、スピルバーグにしてはテンポが非常に悪い。流れが雑然としていてスピード感がない上に、サスペンスが盛り上がらない。まぁ、児童文学でおとぎ話だから、こういうリズムで良いのかもしれないが、ちょっと、映画としての完成度は今ひとつだった気がします。画面作りといい、色彩の配置といい、さすがにスピルバーグの才能は随所に見られるのですが、全体のバランスが良くないのが残念。

児童施設で暮らす主人公ソフィはある夜、夜の街を窓から見ていて、巨人が通り過ぎるのを目撃してしまいます。その巨人は、夢を振りまいたりしながら夜の街に出没していたのです。ソフィに目撃された巨人は彼女をさらい巨人の国に連れ帰る。そこには人間を食料にする巨人達がいた。しかしソフィをさらった巨人はその中でも小柄で、お化けキュウリだけを食べる優しい巨人だった。

夢を採取しては人間世界で夢を吹聴して回る巨人とソフィはいつしか仲良くなり、ソフィはこの巨人をBFGと呼ぶようになる。

そして、人間を狩りに行く巨人を懲らしめるために英国女王に会いに行くことを決めたソフィ達はバッキンガム宮殿へ出向き、持参した夢で女王に巨人の怖さを教えてから謁見、巨人達を懲らしめるために軍隊の協力を得る。

こうして悪い巨人は遠い島に連れて行かれ、BFGは一人幸せに暮らし、ソフィも宮殿で幸せに暮らしました。という映画です。

巨人を俳優が演じ、それを特撮でソフィと絡ませる。美しい景色を作り出した絵作りのうまさはさすがに絶品。しかし、ストーリー展開がまだるっこしい。脚本が今ひとつこなれていないためだろうか。でもこの手の映画はやはりスピルバーグだなと思える映画でした。