くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ぼくのおじさん」

kurawan2016-11-05

ぼくのおじさん
ゆるい話がダラダラと流れるのはいいのだが、いかにも脚本が良くない。さらに、この作品の見せ所である、世間離れしたおじさんの存在感がどんどん普通の人間になることにサプライズもない。結局、ラストでこじつけて本来の存在感に戻したという無理感がひしひし伝わる映画でした。監督は山下敦弘

主人公のおじさんが居候している家族の描写から映画が始まる。ナレーションするのはこの家の長男雪男。いかにもぐうたらで、やたら屁理屈をこねるおじさん、哲学を大学で教えるのだが、非常勤講師でもある。雪男と妹、さらに雪男の両親との軽快なセリフのやりとりかと思われるが、淡々ととぼけるおじさんのキャラクターがいまひとつ浮き上がって来ないのがまず前半の弱点。

このおじさんをなんとかしようと見合いの話を持ってきて、その見合い相手の女性エリーに一目惚れしてしまうのだが、エリーを演じた真木よう子があまりに似合わないヘアースタイルで、しかもおじさんが惹かれる魅力も見えない。

ハワイまで追いかけていくおじさんの世間一般とずれた空気がいまひとつ見えないままに、後半のハワイの展開へ。しかも、エリーの継いだコーヒー園が閉鎖の危機に瀕していて、それを助けるために元彼が自分の経営するお菓子屋を弟に譲り、デパートに出店を許可して、その見返りにデパートからの受注でコーヒー園を助けさせるというありきたりで俗っぽい終盤の流れには参った。こんな芸のない脚本があろうかと思うが、もともと北杜夫の原作なのだがら致し方ないか。

結局エリーは元彼の元に行くのだが、それでおじさんは失恋してという展開の安易なこと。

で、元の生活に戻るおじさんのカットでエンディングだが、全くバカにしてるのかという出来栄えだった。期待はしてなかったものの、それ以下はないよなぁ。そんな作品でした。