くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「母の残像」

kurawan2016-12-14

「母の残像」
テクニカルな映像も駆使して、時間を前後にシャッフルしながら描いて行く演出スタイルはラース・フォン・トリアー監督の従兄弟という才能なのでしょうか。映画としては面白いのですが、いかんせんストーリーの流れが、どこか淀んでしまうところもある作品でした。監督はヨアキム・トリアーです。

一人の青年ジョナが妻の入院する病院に来ている。妻は出産したばかりである。ジョナの母親は交通事故で死亡し、三年が経過。もともと名の知れた写真家であった母の回顧展が予定され、その資料の整理などに、ジョナも父ジーンに呼ばれていた。

弟のコンラッドは引きこもりがちで、どこか父親と折り合いが悪く、幻想を見ながらゲームの世界などにこもっている。

母親の事故シーンがデジタルのテクニカルな映像で描かれたり、コンラッドの妄想がまるでSFドラマのように展開したり、時に、ジョナの過去が交錯して描かれたりと、映像テクニックを駆使して行く。

実は母親の事故は自殺だったという真相をジーンはジョナには話したもののコンラッドには話せずにいた。

やがて回顧展が現実になり、その記事でコンラッドもその真相を知る。

母の死後の父のふとした浮気や、子供が生まれたとはいえ悩むジョナなどのエピソードを交え、3人の心の何処かに残る母の思い出が描かれて行く様は、一見シュールですが、心に訴えかけてくるものがあります。

完成品というイメージではないですが、ちょっと楽しめる映画でした。