「風に濡れた女」
海辺で一人暮らしをしている高介の前を、一人の女汐里が自転車で通り過ぎ、そのまま海に突っ込む。物語はこうして始まり、一見サプライズなオープニングのはずだが、いまひとつインパクトはない。この後、奇妙な男と女の物語が展開するも、どうも乗り切れない。ロマン・ポルノリブート企画の一本で監督は塩田明彦。
まるで欲望をそのまま求めて来るような汐里に翻弄される高介。そこに、彼の劇団仲間の女などが絡んできて、濡場もふんだんに出て来るが、どこか妖艶さに欠ける。
そのドライ感が目指すものなのかと思えなくもないが、高介のキャラクターが最初から次第にブレて来るのが気になる。心境の変化という演出も考えられなくもないが、根本的な性格が崩れて来るのは見ていてちょっと受け入れ難くなるのです。
結局、ラストは、それぞれの女がそれぞれの男を手に入れて、SEXざんまいの暗転。ロマン・ポルノのセンスはやはり監督の才能にもあるのでしょうね。