「揺れる大地」
これくらいのレベルになると、時として、具体的な言葉が浮かばない。2時間40分くらいあるのに、ほとんど時間を感じさせないのです。しかも、その理由がなんなのか浮かばない。それが、超一流の監督の演出力、そしてトップクラスの脚本家の力量なのかもしれません。いや、カメラワークかもしれない等々、なのです。一級品の作品の迫力を堪能します。ルキノ・ヴィスコンティ監督の代表作の一本をデジタル修復版で再見。
シチリアの小さな漁村に住むウントーニは、仲買人たちの搾取に耐えきれず、とうとう喧嘩した末に自宅を抵当に金を借りて自分の船を買う。最初は順調に滑り出したが、嵐で船が大破、借金も返せず家も立ち退かざるを得なくなる。
一気に貧乏な生活になり、家族のそれぞれも諍いが絶えなくなって、最初は抵抗していたものの、再び雇われ船に乗らざるを得なくなり、漁に出て行く姿で映画は終わる。
まさにイタリアネオリアリズム作品らしい見事なストーリー構成と、クローズアップや俯瞰など大きなカメラアングルと演出でぐいぐい見せる人間ドラマの迫力に、いつの間にかスクリーンに釘付けになる。
これぞ名作という貫禄がもの凄い迫力で伝わる傑作。さすがに素晴らしい。