くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サバイバル・ファミリー」「クローズ・アップ」「パンと裏

kurawan2017-02-20

「サバイバル・ファミリー」
なんともテンポの悪い、しかも、何を目指す映画なのかよくわからない一本でした。監督は矢口史靖です。

物語は今時の家族、それぞれが好き勝手に生活をし親子も夫婦仲もバラバラだが、なぜか一つにまとまって、お互い適当にやり過ごしながら生活をしている。

ある日、電気関係が完全にストップ、いきなり野生生活をする羽目になる。そして東京を離れ、妻の実家の九州を目指すのが物語の本編。つまりロードムービーなのだが、所々に散りばめられるエピソードは確かに面白いが、矢口監督らしいユーモアセンスが見えてこないので、いかにも普通なのである。

ようやくたどり着いた九州で、昔ながらの生活をし、二年半経って全てが元に戻ってエンディング。

バラバラになった家族が、文明から離れて必死で生きる中で絆を取り戻す。
ただそれだけの映画で、ただそれだけの物語。そんなシンプルな中に家族の再生の物語的なものをはめ込んだということなのでしょうかね。主演の小日向さんがいかにもしょぼいし、深津絵里は若干頑張って見えるがそれも今ひとつ精彩がない。脇役も弱い。その辺りは残念。まぁ退屈とまでは行かなかったからいいとしましょう。


「クローズ・アップ」
正直眠かった。ひたすらドキュメントタッチのクローズアップの連続で、ストーリーを語るというより、登場人物の心理描写が中心、しかも映像テクニックとかではないので、どんどんしんどくなってくる。監督はアッバス・キアロスタミ
である。

有名な映画監督に間違われた主人公は、そのまま一家を騙すことに。当然、最後は逮捕され、裁判シーンから、結局、無罪となってエンディングになりますが、ドキュメンタリーのように彼を追い続ける前半部分から後半はひたすら裁判での供述のクローズアップの連続となってくる。
自分の好みのタイプの映画ではないし、退屈といえば退屈。
評価する人によれば傑作と解説されていますが、私は合いませんでした。


「パンと裏通り」
一人の少年がパンをだかえて帰ってきたが途中に犬がいて通れない。通り過ぎた老人についていくも、老人は途中の家に入ってしまい、仕方なく犬の前を通って、犬に吠えられるがとっさにパンを投げ、犬は途端に愛らしくなり、ついてくる。

少年は家に入り、犬はまたその門前で座り、やってきた別の少年に吠え掛かりエンディング。

アッバス・キアロスタミ監督処女短編ですが、軽快な動きと音楽のリズムが画面に動きを見せて、とにかく楽しい一本でした。


「トラベラー」
アッバス・キアロスタミ監督長編処女作ですが、こちらも映画が軽快に動くテンポがとにかく楽しい作品でした。

成績は落ちこぼれながらサッカー好きの少年が、テヘランのサッカーの試合を見にいくために、お金集めに奮闘。

やっと見に行ったものの、試合までの待ち時間に広場で寝てしまい、結局見れずにエンディング。というよくある展開の作品ですが、成績が今ひとつで、先生からも母親からも責められる冒頭部分から、お金集めのために、母のへそくりを盗み、叔父のカメラで詐欺まがいの写真を撮り、サッカー友達と使うサッカーゴールを勝手に売ってしまうあたりがまず面白い。

ようやくテヘランに着いたが、サッカーのチケットが目の前で売り切れ、ダフ屋から買う羽目になるも、運良くお金が手に入ったタイミングでサッカー場へ。

試合までの時間、スタジアム内のいろんな運動施設を興味津々に見て回るが、深夜バスできたので、広場で昼寝を始める。お金を集めるためにしかとことで責められる夢などを見て目がさめると試合は終わっている。

次々と少年の周りに絡んでくるエピソードが実にリズミカルで楽しい。子供の無邪気さが映像にテンポを作り出していく様がとにかくウキウキしてくる一本。楽しめる映画でした。