くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ジーサンズ はじめての強盗」「ハクソー・リッジ」「いつ

kurawan2017-06-26

ジーサンズ はじめての強盗
古き良き小粋なアメリカンコメディという感じのちょっとした秀作。おそらく脚本がいいのだろう、散りばめられたセリフの数々の面白さと、展開が実にリズミカルで楽しい。オリジナル版は見ていないのだが、ぜひ見たくなる一本でした。監督はザック・ブラフ

一人の老人ジョーが銀行にやってくる。家のローンが滞ったために催促状が来たという苦情を持って来たのだが、そこへ三人組の銀行強盗が入る。まんまと金を奪って逃げた強盗。ジョーのそばに来た一人の首筋に刺青を見て警察に説明するが、結局犯人が捕まらない。

彼の親友ウィリーとアルバートはいつも一緒にいるのだが、もう余命僅かという老人である。しかも退職した会社の年金が支給停止になり、ジョーは銀行強盗を提案する。そして元娘婿の連れで、悪人に知り合いがいる人物に手はずを整えてもらうことになるう。

一歩間違うと、陰気なサスペンスになるところだが、実にサバサバと明るいタッチで進んで行く。しかも、いたるところにラストに至る伏線が仕込まれていて、誰も彼もが悪人ではないのが実に楽しいのです。

そして周到な計画で銀行強盗を成功させ、見事なアリバイ工作でFBIも煙に巻く。そして、指南してくれた男に捨て犬をもらい、孫のプレゼントにする。これも全てそれまでに伏線が張られているし、実はこの男が最初にジョーに近づいた銀行強盗だったりところだが小粋に組み立てられたプロットが見事。

完全犯罪を成功させる面白さもさることながら、FBIも憎めない人間味溢れるし、老人それぞれが孫がいたり、恋人ができたりと微に入り細に入り人物配置も最高。

脚本が素晴らしいと、誰が監督してもそれなりにできる一本といえばそれまでですが、それなりに映像のテンポもしっかりしてるし、シーンの切り返しもリズミカルで、最後はニンマリと終わってくれる。本当に楽しい映画でした。


ハクソー・リッジ
シンプルなストーリーですが、映像演出だけで最後まで見せる演出力はさすがにメル・ギブソン監督、戦争ヒーマンドラマの秀作という感じでした。戦場シーンが半端なく迫力があるし、その中でひたすら兵士を助けて行く主人公デズモンドの動きを追うカメラがすごい。

映画は戦場シーンから始まる。壮絶な戦いのシーンから16年前に物語が戻る。主人公デズモンドの少年時代。アル中の父親と優しい母、兄と暮らす普通の家庭。やがて成人になったデズモンドは病院で一人の看護婦と恋に落ち結婚を約束、そんなおり、兄は志願して戦場へ行く。時は1945年。

周囲が戦場へ行く中、彼も志願するが、彼は衛生兵として決して銃は持たないという信念で入隊。当然、周囲から疎まれ、上官からも激しい叱咤をうける。そして上官の命令違反だと軍法会議にかけられるが、父親の助力もあり、衛生兵として銃を持たずに戦場へ。

赴任したのは沖縄、ハクソー・リッジと呼ばれる断崖を登った上の戦場を制圧するべく必死に犠牲を払っていた。

やがてデズモンドの隊もハクソー・リッジに臨む。そこは壮絶な戦場で、みるみる仲間が倒れ、必死で助けるものの追いつかず、退却となる。
しかし、全員が退却したかに見えたが、負傷して崖を降りられないまま戦場に残された兵士たちを見たデズモンドは、一人残り、一人ずつ崖を運び出し始める。

この場面がクライマックスになるが、迫ってくる日本人の兵士をかわしながら、次々と崖から兵士を吊り下げおろして行くデズモンドのシーンがサスペンフルにすごい。

そして最後に自分もおり、大勢の兵士に感謝される。そして再度ハクソー・リッジへ。再びの壮絶な戦闘ののち、ついに制圧。デズモンドも負傷を負って、映画は彼が勲章を貰ったというテロップでエンディング。

銃座から捉えるカメラが飛び回る兵士たちをとらえ、火炎放射など、リアリティ溢れる迫真のシーンが見事な一本で、シンプルな物語が映像で見せてくれる成功作品の典型的な秀作という感じの映画でした


「いつかまた、君と〜何日君再来ホーリージュンサイライ)」
なんともつまらない映画だった。物語の骨子が全く見えてこないままに、なんの話なのという展開のままラストシーン。凡作というより駄作という一本。しかも主人公を演じた向井理がなんとも線が細くて、物語を引っ張っていかないし、演技派の尾野真千子も精彩にかけたままで終わった。監督は深川栄洋です。

どうやら向井理の祖母の話らしく、なんの変哲も無いストーリーでどうしようもない。戦中戦後を生きた夫婦の話で、回想形式で描くだけの物語。テレビのスペシャルでも今時こんな話はしないだろうというほど質が悪いのがなんとも辛い。

物語は主人公吾郎が妻となる朋子と喫茶店だろうか話しているシーンに始まり
やがて南京へ行くことになり、画面は現代へ。

朋子の孫が帰ってみると朋子は倒れていて病院へ。軽い脳卒中だということで入院するが、直前までパソコンに手記を綴っていて、それを孫が読みながら物語は戦時中へ飛ぶ。

あとはなんの変哲も無い夫婦の物語が淡々と描かれ、祖母が死んで現代へ。突然、孫の真美が母に捨てられたという恨みつらみが出てきて、なぜか、ラストは抱き合ってエンディングって、どんだけ適当な脚本やねん。呆れる一本だった。