「素敵な遺産相続」
ちょっと洒落たコメディで、二転三転する展開が少々しつこいところもありますが、散りばめられた笑いのエッセンスをひたすら楽しむことができる映画でした。何と言っても、未だに大活躍のシャーリー・マクレーンとジェシカ・ラング、気がつけばデミ・ムーアとなかなかのベテラン揃いも見ものの一本。監督はアンディ・テナント。
葬儀の場面から映画が始まる。どうやらエヴァの夫がなくなったようで、そばに友達のマディが寄り添い、二人で車に乗る。マディがやたら泣き崩れるので、エヴァが夫の死を悲しんでくれたのかと聞いてみれば夫が浮気しているからだという。ここからなるほどとこの映画の流れが見えてくる。
戻ってみると、夫の保険金の通知がきていたが、同封されているのはなんと契約金の五万ユーロではなく五百万ユーロと言う桁違いの小切手。正直に連絡しようとするが、保険会社の電話応答の自動音声のコミカルなやりとりが続き、二人はそのお金を引き出すことにする。
なかなか面白い脚本で笑えるのだが、どこかリズムが悪いのか勿体無い展開。とはいえふたりはヴァカンスに出かけることに。そこで今更ながらのアバンチュールを楽しもうとするマディとチグハグな会話をするエヴァのやりとりが繰り返される。
そして、何やら金持ちらしい老人に声をかけられ、カジノに行き、大儲けをし、ウディは若い男性と知り合い、久しぶりにベッドで燃える。しかしウディは余命いくばくもないのだとエヴァに言うが、具体的には言わず、エヴァの解釈に任せるあたりもコミカル。
一方保険会社はミスを発見し、回収に定年間近の社員に命令し、エヴァの娘クリスタルとともにエヴァを追いかける。
エヴァたちは老人共々カジノで大儲けするが、実はこの老人は詐欺師で、大儲けした金を持っていかれ、その大元は地元の大金持ちで、エヴァとウディは取り返しに。
そこにクリスタルたちもやってきて、全員で乗り込むことになり、実はこの大金持ちも偽のワインで大儲けしようとしている詐欺師で、結局、みんな捕まって、カジノのお金をエヴァも取り戻し帰国の途へ。しかし、エディは知り合った若者と恋の行くへに残ることになる。
エピローグ、海に花束を投げるエヴァたちのカットからウディが死んだのかと思えば、実はウディは若者と結婚し、その式場でエンディング。
保険の回収員の家族の話や様々に詰め込みすぎたエピソードがせっかくのユーモアを薄めているところもあるのがちょっと残念ですが、なかなかしっかり練り上げられ書き込まれた脚本だとおも思いました、面白かったです。
「コンビニ・ウォーズ バイトJKvsミニナチ軍団」
面白いはずなのですが、見せ場が決められていないために、メリハリがなく、せっかくの悪乗りが散漫になってしまって、途中だれてしまい、そのままのクライマックスも非常に短時間であっけないエンディング。オリジナリティのある面白さが台無しになった感じが物足りない作品でした。監督はケヴィン・スミス。
双子のようによく似た二人組の女子高生、しかも名前までコリーン・コレットとコリーン・マッケンジー。なぜか怪しいヨガ教室に夢中で、今時らしく携帯を片時も離さず、バイト先はコンビニ。
今夜も訳のわからない理由をつけた看板を張って店をサボっている。軽快な音楽とアニメチックなオープニングで始まるのですが どこかテンポが悪い。
そこは目をつぶって見ていれば、いかにも今風な女子高生の描写と周りの大人たちの女子高生目線の紹介。
コンビニのオーナーは父親で、歴史の授業で、かつてカナダにはカナダナチスという集団がいたことが語られ物語が牽引されていく。
実はコンビニの地下にカナダナチの集団がいて 、ソーセージクローンで70年後の集団で世に出るはずが、コリーンたちの悪ノリバンドの電源ショートで早くに蘇ってしまい、中途半端なクローン小人が誕生してしまう。作ったボスは彼らに殺されてしまい、何やら肉の塊のラスボスの塊に入ったミニナチ軍団とコリーンたちが戦うのがクライマックスだが、すぐに終わってしまう。
面白いのかどうかわからないままにエンディングになるのがとっても残念な映画で、ジョニー・デップやら彼の娘やらが出ているが、ひたすら今風今風と走るだけの薄っぺらい演出が妙に鼻についてしまうのが勿体無い作品でした。