くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エブリシング」「少女ファニーと運命の旅」

kurawan2017-08-17

「エブリシング」
カメラがとっても美しいし、画面センスが素敵なので、とってもピュアなストーリーの空気が綺麗に出ていてちょっといい映画でした。ラストの展開は原作があるので仕方ないのですが、その展開も、全体をスタイリッシュに処理しているので、心地よく終わらせてくれます。監督はステラ・メギー。

ガラス張りの部屋で暮らす主人公マデリンのショットから映画が始まる。SSIDと呼ばれる免疫障害で一歩も外出ができず、限られた人としか接することもできない彼女は医師である母の元で完全無菌状態で生活をしていた。室内の調度品がいかにも洒落ていて、全体のバランスが実に美しい。そんな彼女は空想の中で外に飛び出し、海を泳いだりしていた。

ある日、隣に家族が引っ越してくる。そして、その家族の青年オリーにすっかりマデリンは惹かれてしまうのです。直接会えないマデリンとオリーはネットなどを通じ、頻繁に会話するようになります。

しかし、惹かれるにつれて会いたい気持ちが高ぶり、マデリンは無理を言って、なるべく距離を置くとい条件でオリーを部屋に入れる。そして、つかの間の会話を楽しむが、次第にマデリンの想いも募り、とうとう、独立記念日の夜、誰もいないことを良いことにマデリンはオリーと口づけをする。

オリーの父親はどうやらDVのようで、いつもオリーと口論をしていた。ある時外で二人が喧嘩しているのを見かけ思わず飛び出すマデリン。マデリンには自分の体よりもオリーとの関係が次第に重要になって来ていた。

母の干渉が日に日に強くなって来たある日、マデリンは決心する。自分がどこまで耐えられるのか?そして、念願だったハワイの海に出かけるべくオリーに助けを求め旅立つ。そして、人生で最初の最高の時を過ごすのですが、ホテルで彼女は昏睡状態になり救急病院へ運ばれる。

一命を取り留め、自宅に戻ったマデリンだが、当然オリーと会うこともできなくなっていた。やがてオリーたちはDVの父から別れニューヨークに旅立ってしまう。

そんな時、ハワイの救急病院から通知が来る。マデリンはSSIDではないというのである。慌てて、母が記録しているカルテを探すがそこにはSSIDに関する記録は何もなかった。

マデリンの母は、愛する夫と兄を事故で亡くしそのショックでマデリンも失くすことを恐れて彼女を閉じ込めていたのである。

マデリンはオリーを追ってニューヨークへ旅立つ、そして彼と再会するところで映画が終わる。

室内のみならず、街の様子やハワイの景色などカメラが本当に美しい。主演のマデリンを演じたアマンドラ・ステンバーグがちょっと太めながらとっても笑顔がキュートで素敵。彼女だったからこそ成立したような映画です。終盤の展開で好みがわかれるかもしれませんが、私は楽しみました。


「少女ファニーと運命の旅」
実話に基づいた逃避行映画です。しかも舞台は第二次大戦中のユダヤ人の話。まだこの手のネタがあるかという感じですが、素直に感動してしまいました。監督はローラ・ドワイヨンです。

1943年フランスの児童施設で暮らすファニーと妹たちだが、ユダヤ人ゆえ、密告されて児童施設が危うくなる。そこで施設長の判断でフランスからスイスに脱出することを計画する。しかも、大人は身分証を要求されるので、子供達だけを列車に乗せることにする。しかし列車は途中でがけ崩れで止まり、ファニーたちは徒歩でスイスを目指すことになる。

途中様々な人に助けられながら最後の最後でとうとうスイス国境にたどり着く。物語は実話でもあり、大きく変えられていないのだろうが、途中のエピソードの挿入、配分もうまいし、子供達同士のドラマもそれなりに描けている。単純にハラハラしながら最後は良かったと胸が熱くなる。

普通の作品かもしれませんが、子供達を演じた役者たちが実に好感で嫌味がないので、どんどん引き込まれます。何度も取り上げられたナチスユダヤ人迫害という今や月並みな物語なのですが、ドラマとしてみれば良かったなぁと思える映画でした。