「エタニティ 永遠の花たちへ」
映画でしかなし得ないような三世代の家族の大河ドラマ。ピアノの旋律に乗せて、死を見送りながら展開する人生のドラマは感慨深いという感想がぴったりの心にしみる作品でした。監督はトラン・アン・ユンです。
ヴァランティーヌというブルジョアの娘の少女時代から成人になり、伴侶ジュールと結婚するところから映画が幕を開ける。やがて、子供が生まれ、またジュールの連れ子も成人となって行く。出征して死んで行く子供を見送り、また自分の娘も病で亡くなり、一方で育って行く子供たちは愛する人を見つけ結婚をして行く。
夫が死に、一人になるも子供たちはそれぞれに家族を持って、また子供が生まれる。一方で、結婚を望まず修道院に入る娘も現れる。
数奇な運命などそこにはなく、人生に起こるであろう様々な出来事を時間軸を前後させながら描いて行くリズムが実にうまい。しかも背後には常にピアノの静かな曲が流れている。
ヴァランティーヌの子供たち、孫たち、さらにその子供までを描く本編はやがて、ヴァランティーヌの死によって、クライマックスを迎え、何世代も続いた家族の現代が映し出されて映画が暗転する。
ただひたすら優しい色調とピアノの旋律のみで語り続ける家族の物語は、なぜか胸に不思議な感動さえ生み出してくる。劇的なドラマもなく、ありきたりに近い静かなタッチの演出が実にこの作品の色調をまとめあげているという感じです。たわいのない作品かも知れないけれど、映画でなければ描けない独特のリズムが心地よい一本でした。
「ギミー・デンジャー」
ドキュメンタリーは見ないのですが、ジム・ジャームッシュ監督が撮るとどうなるのか見たくて見にいきました。特にこのザ・ストージズというバンドのことは知らないし、実は興味もないのですが、ただ監督名のみで見た感じですね。
正直、内容は一般教養を高めるという意味で見た値打ちがあったという感じでしょうか。ただ、所々に挿入される映画のシーンとかはさすがに面白いし、このバンドが様々なところに影響を与えたという解説も納得します。
そういえばこのバンドをモチーフにしたような場面を見たことがあるなと思えたところからすれば、そうとう影響を与えたのでしょう
ステージシーンとリーダーのコメントを挿入しながら、細かい繰り返しで見せて行くテンポはさすがに無理がないし、飽きて来ない。
ただ、どこまでいっても興味のないロックバンドのドキュメンタリーなので、ラストシーンでなるほどと席を立ったという感想です。