くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ブレードランナー」(ファイナルカット)「その人は昔」

kurawan2017-10-18

ブレードランナー」(ファイナルカット)
初めて見てから、DVDなどで見直したものの、大スクリーンで見直したのは初めてであるが、たしかにこのビュジュアル感はすごいと思う。ジョン・ダイクストラの特撮と、日本の道頓堀界隈をモチーフにしたと言われる街並み、灯と暗闇だけの未来世界は圧倒されるし、おそらく、CG全盛でも創造力がなければこういう映画は撮れないと思う。あくまで原作者」フィリップ・K・ディックの世界だと見れば、見事な傑作だった。この映画を、脱走したレプリカントを追うブレードランナーの物語としてアクションと捉えると、完全に的外れになって退屈である。あくまでディックのハードSFの世界なのである。

物語の背景と舞台が説明されて映画が始まる。レプリカントを捜査する特殊捜査官デッカードが一人また一人とレプリカントを倒して行くのが物語。

ショーウィンドウを次々と打ち破りながら撃たれて行くシーンが美しい。一方、レプリカントを作った会社に居るレプリカントのレイチェルとデッカードとのラブストーリーも傍で展開。

最強のレプリカントのロイとの一騎討ちがクライマックスとなる。そして、ビルの屋上から落ち掛けるデッカードは、間一髪、ロイに引き上げられるが、ロイの寿命が尽きてデッカードの目の前でゆっくり眠るように死んで行く。抱いていた白い鳩が舞い上がり、意識がなくならないように手のひらに釘をさすなどの演出に、何かしら意味を見出そうと構想される部分である。

そして、戻ったデッカードは眠っっているレイチェルを見る。彼女がレプリカントなら四年という寿命で死んでいる。ところが目を覚ましたレイチェルはデッカードと手に手を取りいずこかへ消えて行く。

いたるところに散りばめられた意味深なカットの数々に、カリスマ的な人気になった作品ですが、この世界観は誰もが引き込まれてしまいますね。やはり一種のSF映画の金字塔と呼べるものかもしれません。


「その人は昔」
いわゆる歌謡映画というジャンルの作品で、当時のスター舟木一夫と内藤洋子を見せるだけの作品であるが、映画全盛期の息吹が感じられる華やかで楽しい作品でした。監督は松山善三です。

北海道で昆布を取る漁師の家に育った二人の若者が、東京に夢を求めて出るものの、やがて華やかさの中に埋れてしまい自分を見失ってしまう。

我に返った二人は、もう一度一からやり直そうと誓って、会う約束をするが、舟木は予期せぬ事故で約束の場所に行けず、悲観した内藤はボートに乗り自殺する。

なんでやねんというのが繰り返される雑な脚本ですが、大量生産で映画を作っていた時代の空気を感じられる一本でした。