「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」
眠くて眠くて参った。物語の中心に置くべきE.1027の建造物のすごさを描写しないために、何がどうかわからないままに、凄い凄いというセリフだけでル・コルビュジエとアイリーン・グレイの話が展開して行く。監督はメアリー・マクガキアンという人です。
オークション会場に映画が始まる。高価な椅子が落札され物語は家具製作で成功しているアイリーン・グレイの姿からル・コルビュジエとの出合いまで描かれるが、時折ル・コルビュジエがこちらに呟くカットが挿入されて心理描写をする。これがまた弱い。
淡々と進んでいるというより、ぼやけた感じで展開して行く感じで、ストーリー全体がくっきりと見えてこないために、結局、最後はアイリーンの死で映画が終わる。
その道では世界的に有名な人たちの話なのに、それを見せる絵が存在しないのが最大の欠点でしょうか、残念な作品でした。
「月と雷」
角田光代原作のドラマで、おそらく面白い話なのだろうが、妙に一つ一つの描写がくどいのと編集のテンポが悪いのか映画が乗ってこないままにやたら長く引っ張ってしんどくなってしまった。監督は安藤尋。
ある家、二人の子供が遊んでいる。床はものが散らばっている。カットが変わるとタンスから二人が出てくる。同じく床に服が散らばっていて、それをなんともしない母親らしい女がタバコを吸っている。次にカットが変わる。女の子が外に出ると綺麗に片付いた部屋、そして遊んでいた男の子も女もいない。このオープニングはなかなかいい。
主人公泰子はスーパーでレジを打ちながら、結婚も間近の毎日。ところがある日一人の男の子が訪ねてくる。なんと幼い時に遊んだ智で、ふらっとやってきて、なぜかその夜、体を合わせる。智の母親直子はふらふらと家を渡り歩いている。かつては泰子の父親と一緒だったが突然出て行ったのだ。
泰子は、昔出て行った母親を探し当て再会したが、その母や料理研究家でその娘亜里砂も泰子の家でしばらく一緒に暮らす。
淡々と不思議な話が展開、やがて泰子は智の子供を妊娠し、直子は出て行き、智、泰子、子供の三人で暮らし始めるが、直子は行先で死んでしまう。そしてある日泰子が帰ってくると智もまたいなくなっていた。
小気味よくカットを繰り返してコンパクトにまとめればすごくいい映画になりそうだったが、どうも間延び感が強すぎて残念な仕上がりになっていました。おそらく原作はもっとうまくまとめていたのでしょうが、脚本の弱さもあるのかもしれません。