「女神の見えざる手」
典型的なアメリカン法廷劇であるが、ハイスピードでリズムに乗って行く映像展開は秀逸、とにかくラストシーンまで突っ走って、予想通りのどんでん返しが埋め込んであって爽快に終わる。これがサスペンス、と言える傑作だった。監督はジョン・マッデン。
主人公スローンが顧問弁護士とともに上院の聴聞会に行く車中で映画が始まる。ハイテンポな音楽そのままに機関銃のような会話の連続から始まる映像展開がとにかくリズミカルだが、相手側の攻めを見事に論破して行く主人公スローンを演じたジェシカ・ジャスティンの演技がとにかく凄い。
弁護士から、何事にも法と権利を盾にとって、答えるなという指示に、最初は従っていたスローンだが、最後の最後反論してしまう。途端にそれまでの権利は無くなり、全てに弁論していかなければならなくなる。それはこの聴聞会を仕切ったスパーリング上院議員の策略でもあった。そして物語は時間を遡る。
大手のロビイ会社で辣腕の振るっていた主人公スローンは、ある時、銃の法規制の法案について、シュミットという男 の誘いいで、銃規制を擁護する側のロビイ活動をする小さな会社に移籍することになる。スローンは部下を連れて、出ようとするが、右腕だった一人は、ついていかない。
結局五人で移籍、あとは丁々発止で頭脳戦が繰り広げられるが、次々と先を読んで勝利して行くスローンの行動がまず爽快。しかし、部下を部下と思わず、全てを目的のために強引に進めて行く姿に、仲間からも反感を買い始める。
やがて形成はほぼ勝利が見えた時、相手側は彼女を失脚させるべく、緻密な行動の中の穴を見つけようとする。そして、スローンについていかなかった彼女の右腕彼女のミスを発見、一方で、聴聞会のリーダーとなるスパーリング上院議員にも働きかけて彼女の失脚に向けての委員会へと進む。
ところが、形成がほとんど負けという段階になり、スローンが最後に答弁を申し込み語り始めたのは、全てが彼女の計画の中にあったということだった。スパーリング上院議員への相手側の働きかけも盗撮されており、スローンのミスに思われた書類も残してきた右腕による策略だったことがわかる。
こうして形成は大逆転するも彼女は収監されるが、間も無く出所することになる。
音楽のリズムも映像の絡むように小気味好く、会話の応酬のハイスピード感とストーリー展開の緻密さで一気に見せてくれました。面白かったです。
「アトミック・ブロンド」
凝った物語になっていて、意図もわかるのですが、凝りすぎた感が強くて、正直やりすぎやなという感じになっていました。果たして自分の解釈でよかったのかどうかさえ不安になってしまう映画でした。監督はデビッド・リーチです。
ベルリンの壁が崩壊する年、一人のスパイが逃げているシーンから映画が始まる。その男は殺され、追い詰めた男は時計を奪って消える。カットが変わると、主人公ローレンは全身あざだらけになり、風呂から上がりMI6の事務所へ向かう。そこで報告を求められるのに応じて話し始める。
彼女はMI6のスパイで、ベルリンで奪われたスパイリストを奪還するためにベルリンに派遣された。そこでソ連やフランスなどのスパイと誰が裏切り者か誰が二重スパイか見極めながらリストを追う。というのが本編。
味方かと思えば敵だったり、知らないうちに盗聴器が仕掛けられたりと誰が味方かわからない中で次々とアクションが展開、そして実は仲間と思っていたMI6の同士が裏切り者で、リストもどこに行ったか不明という報告で全てが終わる。
と思いきや、実は報告自体に虚偽が隠されていて、最後の最後にもう一度銃撃戦が繰り返され、無事倒したローレンは自家用機に乗りアメリカに向かう。中にはCIAのボスがいた。
なるほどそういうことやな、と納得はするし、モノトーンの映像やB級アクションを思わせるようなテロップなど、なかなか面白いのですが、どこか陳腐に見えるのはなんだろう。まぁ、気楽なアクション映画と楽しむ一本だった気がします。