くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」

kurawan2017-11-04

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
スティーブン・キングブームの時に映画化されなかった彼の代表作の一本がこのタイミングで映画化?
ファンとしては楽しみでしたが、盛り上がっては最初に戻りの繰り返しの恐怖シーンの連続は、最後は眠くなってしまいました。

脚本が悪いのでしょうね。物語がどんどん盛り上がっていくというより、連続ドラマをダイジェストにしたような作りになっていて、しかも、ITの存在の怖さが、最初から目の前に出てくるので、本人登場であとは見えない恐怖感はないし、怖がらせの伏線もほとんどしていないという出来栄えに少々ホラーファンとしてはがっかり。監督はアンディ・ムスキエティという人です。

物語は1988年、病気で寝込んでいるビルは弟のジョージーに紙の船を作ってやる。外は土砂降りの雨で、喜び勇んで出かけたジョージーは船を下水の中に流してしまう。何とか取ろうと穴をのぞき込むと、突然不気味なピエロが現れ、彼の腕を噛みちぎりそのまま、下水の中へ引きずり込んだ。それから一年後、弟のことを忘れられないビルは友達と、彼を捜索する様々な推理をしていた。

そこに、いじめっ子やら、いじめられている転校生で歴史オタクやら、父親に性的虐待を受けているらしい女の子やらとお決まりのキャラクターが登場するのだが、この辺の描写が不十分なために、ただホラー映画の失敗作にしか見えない。

しかも、一人一人に迫ってくるピエロは、ジョージーを含めあと一人か二人は犠牲にできたが、あとはみんな退散してしまっているという弱さもストーリーが甘くなった感じです。

おそらく、原作は「スタンド・バイ・ミー」のような青春ドラマの部分も描いたなかなかの仕上がりだったのだと思いますが、ホラーで走るか、青春ドラマで走るかが中途半端な脚本になったために、原作の味が出なかった気がします。

結局、何度かの対決の後、ピエロはいずこかへ去ってしまう。ビルたちは、もしまた現れたら集まってやっつけようと血の誓いをしてエンディング。
最後の「第一章」が終わったと出る。

ホラーシーンの作りはただのゲテモノ映画の仕上げにしていないのは評価してしかるべきですが、怖がらせる部分と青春ドラマとのメリハリをきっちりしたら、一級品のいい映画になった気がします。決して駄作ではないし、アメリカでヒットしているのもわかりますが、もう一歩ほしいという感じの映画でした。