「マイティー・ソー バトルロイヤル」
このシリーズはなんのことはない。ただ何にも考えずに派手な特撮を見て入ればいいのですが、それもだんだん安易になってきて、いったい、これほどお金をつぎ込む値打ちがあるのかと思ってしまう。監督はタイカ・ワイティティです。
ソーのふるさとアスガルドにソーの姉で死の女神と異名のあるめっちゃ強いヘラがやってきて、アスガルド崩壊の危機に陥る。ニューヨークから謎の惑星に飛ばされ、訳のわからないバトルロイヤルに参加させられたソーは、そこでハルクと再会、ヴァルキリーの戦士、さらにロキとも出会って、アスガルドの危機を救うべく戻ってくる。
あとは、ひたすらCG満載のバトルシーンで、今更なんの変わりばえもない展開と映像でエンディング。
この手のシリーズの定番になったエピローグのお遊びもあって終わる。もう、これ以上書きようがないですね。
「軽蔑」(ジャン=リュック・ゴダール監督版)
ターコイズブルーと赤、そして黄色を基調にした画面作り、そして即興に近い演出でどんどん撮っていくカメラワークの斬新さはまさにゴダールの世界。その面白さを堪能することができるラブストーリーの秀作。ブリジッド・バルドーの裸体がなんとも美しい映画だった。
劇作家のポールは大作映画の手直しを依頼される。脚本家でもない彼だが、引き受けるかどうか悩むのだが、そんな彼を妻のカミーユは次第に軽蔑していく。
それは倦怠期に差し掛かりつつある夫婦の自然な流れが、たまたま脚本修正の仕事に絡んできただけかもしれなかった。
映画はポールとカミーユが裸でベッドにいるシーンから映画が始まる。独特の赤い照明を使用したオープニングがまずゴダールらしい。
抑えた色の赤、ブルー、黄色の様々なオブシェや服装の配色の中で、ポールとカミーユの会話、プロデューサーとの会話などが展開していく。
カメラは実に自然そのままに彼らの姿を捉えて行き、その素朴さと自然さのリズムの中、ポールとカミーユの間に深まっていく溝が描かれる様がなんとも切ない。
やがてカミーユはポールの言われるままにロケ地から一人男性に送られて旅立つが、その車は事故を起こし二人とも死んでしまう。一人、ポールはロケ地で撮影隊に挨拶をして映画が終わる。
この独特の退廃感こそがゴダールの世界観だと思うし、こだわりの色彩とカメラワークが独特のリズムを全体に作り出していく。決してゴダールのファンではないが、この映画は好きです。