「ジグソウ ;ソウ・レガシー」
このシリーズも8作目、例によっていつものテーマ曲からはじまる。このシリーズの面白さは、第1作のオリジナリティあふれるアイデア勝利の映画から、ジグソウが死に、いったい誰が彼の後継者かという謎解き映画に変わってきているところかもしれません。その意味で、今回の映画もそれなりに楽しめました。監督はピーター&マイケル・スピエリッグ。
一人の男が警察に追われ、なにやら装置のスイッチを入れようとするので射殺される。そして、その男の体からメモリーが取り出され、再生してみると、10年前に死んだジグソウの声でゲームが始まったと告げられる。
画面が変わると部屋に鎖で繋がれた四人の人間。顔にバケツのようなものを被せられ、正面にノコギリが出た壁がある。あとは例によっての「告白せよ」といメッセージの繰り返しととつぎつぎと行われる残酷な殺人シーンが繰り返される。
死んだ人間は、別の場所で周知の目にさらされ、それを調査する刑事ハロランとキース、検死官のローガンとエレノアが事件に立ち向かう。さてさて、例によってこのうちのだれかがジグソウの後継者なのだろうと思っているうちに、無理やりクライマックスで、彼らがお互いを疑い始め、結局ローガンが犯人でエンディング。
じゃあ、あの残酷な殺人シーンの意味は?と突っ込んでしまうから、この映画の常道は守られているなと思う。いつまでたっても第1作を超えられないのがもどかしいが、普通に楽しむホラー映画になってるのはある意味評価すべきかもしれません。
「ザ・サークル」
物語が核心に入るまでがちょっと長い気がしますが、サスペンススリラーという表現が当てはまるようなちょっと怖い映画でした。監督はジェームズ・ポンソルトという人です。
主人公メイがカヤックに乗っているシーンから映画が始まり、友人アニーの紹介で巨大SNS企業のサークルに就職する。思いもよらない幸運に有頂天で会社に行くメイだが、あまりにも非人間的な従業員の姿や、プライバシーを無視した社内の活動に見ている私たちがまず引いて行く。しかし、そんなことは物ともせず、しかも難病の父の世話までしてくれる会社にどんどん引き込まれて行くメイ。
ある時、深夜にカヤックを持ち出して海に出たメイは、波に揉まれ転覆してしまう。助かったのはサークルがあちこちに設置した小型カメラとそれを見ているネット社会のおかげだった。
この事件でメイはサークルの創業者ベイリーの目に留まりある提案を持ちかけられる。それはメイ個人にさらに小型のカメラをつけ、彼女の私生活も配信するというものだった。
一気にネット社会でメイの名は広まるが、さらにメイは、このシステムで人を探し、何もかもを一元にすることを提案、ベイリーらも賛成をする。そしてソウルサーチと呼ばれるシステムにより、人探しさえ一瞬で可能になるが、そのプロモーションの中でメイは、みんなに勧められるままに疎遠になった友達を見つけるというチャレンジをする。
見つかったものの、カメラで追いかけられ、逃げた末に友達は事故で死んでしまう。そしてメイは一旦田舎に引きこもるが、ある決心をして会社に戻ってくる。会社の主要人物でありながら姿を隠しているタイ・ラフィートと協力し、プレゼンの席で大勢を前にメイがしたのはベイリーらのプライバシー、技術などすべても透明化するというものだった。
大勢の従業員の前で、拒否できないベイリーらは、受け入れるものの、電源を落とされる。しかし観客は携帯のライトでメイを照らす。
一人メイはカヤックに乗っている。やがてドローンが彼女の周りに集まってくる。微笑むメイのカットでエンディング。このラストの意味は?色々に取れると思います。
プライバシーを見せる映画は以前も何かあった気がするが、忘れてしまった。もちろんSNSやネットの話ではなかったものの、プライバシーがなくなる恐怖とその恐怖に気がついていない現代の私たちへの警告としてかなりの恐怖が伝わる一本でした。