くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「火花」「giftedギフテッド」「GODZILLA 怪獣惑星」

kurawan2017-11-29

「火花」
原作が良いのだというのもあるが、菅田将暉が圧倒的に良すぎて、完全に映画を牽引して行く。思いのほか引き込まれたし、思いの外涙してしまった。傑作というレベルまで行ききらないのが残念ですが、見てよかったなぁという一本でした。監督は板尾創路

芸人の徳永が熱海の営業先で、客に罵倒されているところで神谷という先輩漫才師と出会うところから映画が始まる。

菅田将暉扮する徳永は桐谷健太扮する神谷に弟子入りを申し出、何かにつけ、自分の思うままに笑いを取るために、楽しむために漫才をする神谷にどんどん惹かれて行く。

物語はこの二人を中心にそれぞれのコンビが必死で表舞台に出るべく奔走するが、やがて二人の間には微妙なズレが生じ始める。

菅田将暉桐谷健太のセリフの掛け合いのリズムが微妙に噛み合わないのが、わざとなのか、ミスなのか結局わからないのですが、そのズレが最後まで気にかかってしまった。

やがてテレビで売れた徳永らのコンビも微妙な立ち位置でトップにはなれず、徳永の相方は普通の家庭を築くと言いコンビは解消となる。

そして、徳永も普通のサラリーマンになったある日、神谷から連絡が入り、二人で飲みに行くが、世の中をつかみきれず、ただ自分の笑いだけを求める神谷の姿にとうとう徳永は意見をしてしまう。

そして二人はそのまま、かつてであった熱海へ行くのだが、張り紙してある漫才のコンクール出ようとはしゃぎ出して映画が終わる。

徳永らの最後の舞台シーンはひたすら涙が出るし、芸人の悲哀は見事に描かれているとは思うが、それは原作の味で、映画の出来栄えとは違うような気がする。面白いのだが、どこか微妙なズレが結局最後まで気になったが、でも良い映画だった気はします。


「giftedギフテッド」
これは良かった。とにかく良かった。もう最初から天才少女メアリーに引き込まれるし、途中からはフランクとの物語にひたすら涙が止まらなかった。監督はマーク・ウェブである。

ある小学校一年のクラス、一人の少女メアリーが授業を受けているが、先生の出す問題をばかにしたように解いて行く。先生は次々と難しい問題を出して行くが、いとも簡単に解くメアリー。帰り際、メアリーを迎えにきたフランクに先生のボニーは彼女は特別だと伝えるが、それはナチスが編み出した暗算方法だからと切り返す。

メアリーの母親は天才と言われた数学者であるが、メアリーが生まれて間もなく自殺
彼女を弟のフランクに託したのだ。そして実はメアリーもまた数学の天才で、それが目立たせないために、いまの普通の小学校にやってきたのだ。

数学の問題を見るとき以外はいたって普通の少女で、とにかく愛くるしいほどに可愛い。これは流石に子供を持ったものにしか感じ得ない感覚だと思う。

ある時、メアリーとフランクが家に帰ると、玄関に祖母イブリンが待っていた。彼女は、娘の死後、行方が分からなかったメアリーを探してようやく見つけたのだ。

メアリーの祖母イブリンは娘の天才も理解して高度な数学の難問の回答に臨ませていたが、孫のメアリーの才能にも気づき、なんとか彼女を手元に置いて、育てたいという思いを持っていた。

こうして、メアリーを手元に引き取りたいイブリンと、姉の意思を守ろうとするフランクの物語が始まる。

高度な数学の問題に取り組むことに楽しみを感じる反面、大好きなフランクとも別れたくないし、飼っている片目のフレッドという猫も大好きなメアリーは大人の行動にただ、戸惑って行く。

結局、裁判の結果、近くの里親に預けられることになったメアリーだが、ある時、かつての担任のボニーが、フレッドが手放されていることに気がつき、フランクに連絡、フランクが里親の元を尋ねると、なんとイブリンがメアリーに家庭教師をつけていた。

フランクは、全てを話す決心をし、姉が残した難解な方程式の回答をイブリンに見せる。姉はその発表をイブリンの死まで隠すように言っていたというのだ。姉はイブリンの行いにある意味感謝しつつも反抗していたのである。

イブリンが娘の残したメモをちゃんと見直して見ると、なんと回答できなかったと思っていた方程式の回答ができたというメモが書かれていた。

そしてメアリーはフランクの元に戻り、大学に編入し勉強をはじめる。一方大学の授業の後は、担任のボニーの学校に行き、子供達と遊ぶようになって映画が終わる。

とにかく、とっても人間味あふれる物語であるとともに、一人の天才を身内にした大人たちのなんとも言えない苦悩が見事に描かれているのが良い。祖母のイブリンも決して悪人ではないし、もちろんフランクも悪人ではない。メアリーもただ、無邪気だし、何と言っても、キリッと睨むメアリーの表情が抜群に良い。

もちろん、若干のアラもないわけではない映画ですが、本当に大好きな良い映画だったと思います。最近のベストです。


GODZILLA 怪獣惑星
ゴジラシリーズの一環という感覚で見に言ったが、完全に虎の尾を刈る狐的な作品だった。アニメとしての絵の美しさはなかなかだが、ストーリーテリングはかなり雑だし、バトルシーンに才能を感じさせない平凡さが非常に残念。

ゴジラの破壊に屈し、地球を離れた人類は、すでに宇宙を放浪して20年が経っている。食料も尽き、希望もなくなりつつある中、再度地球へ引き返す決断をする。推定では20000年近く地球では時間が過ぎているということで、ゴジラはすでに絶滅したのではというかすかな希望で戻ってきたが、ゴジラだけでなく、その生態を受け継いだ生物も存在していた。

ゴジラ退治の独自理論を持つハルオは、積年の恨みを晴らすべく隊員たちとゴジラに果敢に挑み、とうとうゴジラを倒すのだが、実は、当初のゴジラは20000年の間成長を続けていて、超巨大生物となって現れて映画が終わる。

三部作の第一部だそうですが、結局、オリジナルのゴジラとは別物のただの大作アニメというレベルの作品でした。ゴジラファンとしてはややさみしいですが、これも一つの形でしょうね。