くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「フィフティ・シェイズ・フリード」「イコライザー2」

フィフティ・シェイズ・フリード

三部作の最終章ということで、惰性で見た感じです。第1作からダラダラした作品ですが、まだソフトSMという異質なオリジナリティを匂わせていたので見れましたが、ここにきて普通の映画になって終わりました。監督はジェームズ・フォーリー

 

アナとクリスチャンの結婚式の場面から始まる。クリスチャンはアナや家族にも護衛をつけたのだが、彼らの周りには不気味な影が見え隠れする。新婚旅行の最中にクリスチャンの会社が放火されてしまう。どうやら犯人はアナの元上司で恨みを持つジャックの仕業だとわかる。

 

一方、仕事を辞めることなく続けるアナは、どことなくクリスチャンと溝が空き始める。そんな時、避妊の注射を忘れて、アナは妊娠、まだそのつもりのなかったクリスチャンはアナに素っ気なく接したため完全に溝ができる。

 

そこへ、保釈されたジャックがアナの妹ミアを誘拐、アナに金を要求してくる。アナは一人で対処し、受け渡し場所へ。それを追うクリスチャン達。そしてあっけなく救出されて、クリスチャンもアナの妊娠を受け入れ、カットが変わると子供と戯れるクリスチャン達のシーンでエンディング。ジャックが執拗にクリスチャンを恨む真相が終盤にさらっと説明されるサスペンスの盛り上がりもない。

 

このクリスチャン、これほどの事業を起こしながら、妻の妊娠だけで、自信がないからとうろたえるのはあまりにもキャラクターとして弱いし、これが原作通りならあまりにもスケールの小さい男である。この辺りの矛盾が最大の欠点かもしれない。

 

しかも、売りのSM色は適当に無理やり挿入している感で、クリスチャンがアナを支配しているという迫力は無くなるし、一方のアナは強いというよりわがままでクソ生意気な女にしか見えなくなってくるし、本当に魅力のない映画で終わりました。

 

イコライザー2」

このシリーズのいいところは脇のエピソードもしっかり描けていることですね。流石にアクションだけで終わらせないためには芸達者なデンゼル・ワシントンが必要なのでしょう。今回は前作ほどのキレの良さはありませんでしたがなかなか面白かったし、エピローグの脇の物語に胸が熱くなりました。監督はアントワン・フークワ。

 

列車が夜の線路を疾走している場面から映画が始まる。どうやらトルコ?のあたりでしょうか。一人のアラブ人らしき男が食堂車に行き、そこにいた男達と絡んで、タイトルになる。この男こそ主人公マッコール。元CIA特殊工作員で、今回は、DVの夫に連れ去られた娘を救出するためにやってきたのだ。

 

普段はタクシーを流しながら、法が裁けない悪人をやっつけている。

 

ここにある家族がこれからディナーを食べようとするところ。仕事を終えて夫が帰ってくると、妻が何者かに羽交い締めされ、そのまま撃ち殺される。そして夫もその場で殺される。

 

カットが変わるとマッコールが家に帰ってくると、人の気配がする。勝手に入っていたのはかつての上司スーザンだった。食事をして、近況を話す。かつてスーザンの元で集まったチームの話などする。

 

ところが、まもなくしてスーザンは何者かに襲われ殺されてしまう。そばにいたデイブに事の詳細を聞き、調べ始めるマッコール。

 

ある時、タクシーに乗った男がマッコールを襲ってくる。すんでのところで相手を倒し、相手の携帯を奪取して分析したところ、その通話記録にデイブがいた。マッコールが詰め寄ると、かつてのチームは今はバラバラになり、上の指示によって良し悪しを問わず人殺しをしているのだという。先日の事件も同様で、上の人物が、自分たちの障害になる人物を命令で処分させていたのだ。そして、マッコールもターゲットの一人だと答える。

 

マッコールはその場を巧みに逃れ、戦いを挑むことになる。そして、かつての家に彼らを誘い込み最後の戦いへ。台風が迫り風雨がはげしくなるなかでの銃撃戦。当然マッコールが勝利する。

 

物語の本筋はこうだが、いつもタクシーに乗せる施設に入っている老人の記憶の底に残る女性をさりげなく調査させ、エピローグで引き合わせたり、マッコールの住んでいるアパートの住人の若者が悪の道に進むのを助けたり、そしてその若者がラスト銃撃戦の中で、スパイスになって登場したり、圃場に深みのあるアクション映画に仕上がっている。アントワン・フークワの絵作りも秀逸で、シャープな夜の景色を色鮮やかに取り入れた画面も美しい。

 

前作ほどではなかったが、こういう良質のアクションはシリーズ化してほしいものだと思います。見応えある作品でした。