「オズランド 笑顔の魔法おしえます」
たわいのない軽い物語ですが、肩も凝らず楽しめたからいいとしましょう。ただ、西島秀俊をはじめキャスト全員が乗り切れていないのが最後まで引っかかってしまいました。監督は波多野貴文。
大学を出て、恋人が勤める会社に入社した久瑠美だが、なんと最初の赴任先が大隅半島にあるレジャー施設。不満沸騰で赴任したものの、よくあるふてくされシーンが続く。しかしこのグリーンランドに勤める人たちは、小塚のリーダシップとアイデアもあって楽しそうに仕事をしていた。
最初はふてくされていた久瑠美も次第に馴染んできて、ここを夢の国にすべく奮闘を始める。全くよくある展開なのだが、次々と新アイデアで牽引してきたという小塚のミステリアスさが見えないし、普通の遊園地にしか見えない。
さらに、それぞれの個性的な従業員の弾けた空気感がとってつけたようで、全然伝わってこない。クライマックスに行く50周年イベントのサプライズの面白さも拍子抜けしてしまっていて、エピローグも今ひとつ。完全に不完全燃焼のままエンディングを迎えたのは残念。
脚本時のキャラクターの造形が弱いのだろうが、西島秀俊がミスキャストにしか見えない。原作があるので、もしかしたらもっと原作は楽しいのかしれないけれど、映画は普通の出来栄えだった。
とってもシンプルな話なのですが、不思議と心に訴えかける何かを感じることができる青春ドラマでした。監督はジェームズ・サドウィズ。
主人公ジェイミーはクランプトン高校に入学したものの周囲に馴染めないまま、過ごしていた。ある時、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を読んで感銘を受け、演劇にしようと思いつく。そしてヒロインを探すために演劇仲間の舞台を観に行く。
最初は憧れの女性をヒロインに自分を主演にする予定だったが、声をかけられないままに悩んでいるところ、ディーディーという演劇仲間の女性に声をかけられる。
一方、舞台にするために原作者の了解を得る必要があるが、隠匿生活をするサリンジャーの居場所がわからない。ジェイミーはディーディーとサリンジャーを探しに出ることになる。
そして、偶然も重なりサリンジャーを見つけ、許可を依頼するが、断られる。諦めて帰ってきたジェイミーに高校の先生たちは、これは課題であると割り切り上演するよう提案。舞台は大歓声のうちに終わる。
ジェイミーは自分の台本を名前を消してサリンジャーのところに届けに行くが、サリンジャーは、以前にも強行したものがいて、それらも大歓声だったと答える。そして私が書いたのはあくまで本であり脚本は書かないと言われ、台本も受け取らなかった。
ジェイミーは、サリンジャーの答えに何かを得た気がして、ディーディーの待つ車に戻る。そして車の上に第本をおいたまま、少しディーディーと話して車をスタートさせる。屋根から台本が落ちて走りさる車のカットでエンディング。
サリンジャーは、許可を与えれば自分の書いた人物は変化しないという内容のことをジェイミーに告げる。つまり、強行することで新しいものが生まれると教えたのではないでしょうか。
素朴な画面とシンプルなストーリーに秘めた、若者へのさりげないメッセージがちょっと心に残る作品んでした。