くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「素敵なダイナマイトスキャンダル」「BPMビート・パー・ミ

kurawan2018-03-28

素敵なダイナマイトスキャンダル
エロ雑誌などを始め、一斉を風靡した雑誌編集者末井昭の自伝をもとに描いたドラマであるが、とにかく淡々と物語が語られて行くだけで今ひとつ面白味のない映画だった。いろんな見せ場があるはずなのに、ほとんど効果をもたらしていないのがもったいない。脚本が悪いのか、演出の意図なのかわからないけれどあまりに普通すぎて、ちょっとがっかり。監督は冨永昌敬

母が隣の男とダイナマイトで自殺したという経歴のある主人公末井昭が、田舎を飛び出して、転々としながらデザインの勉強をし、キャバレーの看板書きやポスター書きをしながら、やがて雑誌の編集を始める。中身はいわゆるエロである。

目の付け所が良かったか、雑誌はうれにうれ、警察からの指導もありながらもさらに売れて行く。

高度経済成長からバブルの崩壊という時代の流れを描いているのだが、そのレトロ感はほとんど画面に見えてこないのは少し勿体無いが、主人公のひたすら生きる様の熱さが伝わってこないのがさらに残念。

妻牧子を演じた前田敦子も効果的に使えていないし、癖のある俳優を配置しているのに、映画がキワモノにならずに本当に普通になって行くのがどうにも歯がゆかった。

宣伝を見たときは、かなりの期待作と思ったのですが、ちょっと拍子抜けしてしまいました。


BPM ビート・パー・ミニット
ゲイやホモの映画はどうも苦手で、今回の作品も最後まで完全にのめりこめなかった。舞台が1990年代と、まだまだエイズに偏見もあったとはいえ、物語の中心にある抗議団体アクトアップという存在の行動は素直には賛同できない。故に、見ていられなかった。カンヌ映画祭グランプリ作品だが、なんでグランプリ?と思う映画だった気もします。監督はロバン・カンピヨ

エイズ患者たちで作る抗議団体アクトアップパリの集会に映画が始まる。新薬が開発されたにもかかわらず、一般に普及させることに躊躇している製薬会社や今だにエイズ撲滅に本気にならない政府に対し、行動を起こしていこうとする激論が戦わされる中、行きすぎた行動への自嘲も議題の中に含まれる。

おそらく、実際に起こったエピソードを盛り込んでいるのだろうが、学校の教室に乗り込んだり、製薬会社に無理やり乗り込んだりした行動は、いくらなんでも暴力行動に他ならないし、エイズ患者であるという弱者である自分たちをまるで正当な権利者であるかのごとく大手を振った振る舞いは賛同できない。映画がどちらかというと完全に一方的な立場で描いているのがとにかく気に入らない。

物語はこの団体にいたショーンと彼と恋に落ちるナタンの恋物語を中心に描いていこうとするが、かなり弱いし、ショーンの病状が悪化し、ラストは死によって映画を終わらせるにもかかわらず、ほとんどがアクトアップの行動になっているストーリー配分もかなり偏りが見られる。しっかりと作られた映画がだが、その偏りが最後まで気に入りませんでした。