くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダンガル きっとつよくなる」

kurawan2018-04-26

ダンガル きっと、つよくなる
実話をもとに二人の娘をレスリングの世界で成功させる父親を描いたスポ根ドラマであるが、映画として実にうまく脚色されているので思い切り感動してしまう。映画づくりというのはこういうのをいうのだと思う。監督はニテーシュ・ティワーリー

最初に、主人公となる父マハヴィルと二人の娘ギータとバビータ以外はフィクションであるとテロップが出る、確かにこの父娘の実話をもとにしているがかなりの脚色がなされているのは見ていればわかる。

かつてインドの全国大会で優勝した父マハヴィルは、国際大会での金メダルを子供に託そうとするが、生まれてくるのは女の子ばかり。ある時、二人の娘ギータとバビータがやたら喧嘩が強いことを知り、二人をレスリング選手にする決意をする。そして、周りの人々の冷たい視線を物ともせず特訓を始める。

インドという階級社会、まだまだこのころ残っていた男尊女卑の思想を背景に、やがて二人の娘は地元で優勝、女子選手として全国を制覇していく。映画は単なるスポ根ドラマにせず、インドが変わりつつあることを表現しながら展開していく。この深さもこの映画の見どころである。

やがて全国大会を制したギータは国際大会に向けて父を離れてトレーニングチームに入る。父と違う指導のもとに変化していくギータは、国際大会で芽が出ず、父の姿をおもいおこす。父もまた娘に指導を再開し、やがて金メダルを取る。

よくある展開で、背景にインドが近代化していく様がさりげなくセリフなどに盛り込まれ低rのが実にうまいし、ラスト、決勝戦を見にきた父親が嫉妬したレスリングコーチの策略で閉じ込められ、娘が勝ったことを国家が聞こえてきて知るという演出は、あざといながらも映画的になっていてうまい。

そしてエンドクレジットにインドで女子のレスリングが盛んになったと締めくくる。

家庭の主婦になることだけ、子供を生むことだけにその存在を認められていた女性が、その権利を勝ち取っていく時代の流れの変化をさりげなく描いていく意味で、この映画が今までの脳天気な作品から少し脱皮した感じがします。もちろん、素直な感動を与えてくれた意味では見てよかったなと思う一本でした。