「空飛ぶタイヤ」
社会ドラマとしてのリアリティのないのが最大の欠点ですが、何よりサスペンスとしてのワクワク感も全くなかった、監督は本木克英。
中小の運送業者赤松運送はその経費削減に奔走していた。そんなある日、トラックの脱輪事故で一人の母親が亡くなる。トラックの製造会社ホープ自動車はこの事故を整備不良と判断し、警察も一旦はそういう形で収めようとするが、何とも納得いかない赤松運送の赤松社長は独自に調査を始める。そして見えて来たのはホープ自動車の組織的なリコール隠しだった。という展開ですが、あまりに緩急のない脚本と演出には参った。
ホープ自動車の販売課長沢田の正義感や彼の友達、若手社員の熱さも全く伝わらないし、ホープ銀行の融資担当の井崎などのキャラクターも彼の友人のジャーナリストなキャラクターも全く際立たない。
さらに、悪役で唯一の存在感を出すべきはずの岸部一徳の狩野の迫力もなく、どこが社会エンターテインメントかと思ってしまう。
ここまで薄っぺらいと、もう日本映画はダメなのかとさえ思ってしまいます。本当に、話題性だけで何とかしようという雑な作品でした。