「BLEACH」
なんともキレのない演出と展開、しかも物語構成の配分もなってない。どうもこの佐藤信介という人はアクションが苦手なのだろう。面白みも斬新さもないありきたりのだらだらアクションに参った。もっといい話だし、もっと面白い話なのに本当に残念。監督は佐藤信介。
黒崎一護の幼い頃、母親と雨の中を歩いているシーンから映画が始まる。池のそばに少女がずぶ濡れで立っているので一護が傘を貸そうと駆け出していくのだが、母親が身を呈して守ったかのカットで現代へ。
一護は高校生になっていて、霊を見ることができ、この日も霊をないがしろにした不良どもをやっつけた。やたら喧嘩も強い。
ある夜、家族団欒のところに不気味な影、ホロウと呼ばれる化け物霊が一護を狙ってきた。そこへ現れたのが死神と称する朽木ルキア。ところが戦いの中で重傷を負い、ルキアは自分の力を一護に与えるから、ホロウを倒すように頼む。
ところが半分だけ力を与えるつもりが全部吸い取られてしまい、ルキアは元の世界に戻れなくなる。唯一の方法は、もう一度力を返して貰えばいいのだが、そのためには一護がホロウを次々倒して強くならなければならない。
実はルキアは最強というホロウ、グランドフィッシャーを追ってきたのである。グランドフィッシャーは一護を狙っていて、一方、ルキアの主人的な白哉と最強の死神恋次が現れ、ルキアが人間に与えた力の償いをせよと迫る。
原作の物語はこの辺りを事細かく描いているのだろうが、何もかも一気に走ろうとしているためにあちこちに矛盾と無理がかかっていて、ところどころ知識を戻すと、食い違っているところがある。
クライマックスはグランドフィッシャーとの戦い、その後の恋次との死闘、さらに白哉との勝負なのだがどれも本当につまらない。
最後は、白哉から身を呈して一護を守ったルキアが、力を取り戻し、すべての記憶を消した元の世界に帰っていく。
何気ない高校生に戻った一護のシーンでエンディング。
おそらくこのラストはもっと切ないエンディングのはずなのだが、脇役がとにかく弱いので、話に厚みと迫力が出てこない。
原作は人気コミックなのに、この程度の出来栄えはファンとしては残念じゃないだろうか。杉咲花はもっといい演技ができるのに使い潰した感じである。一護の友達、同級生の女子などの描き方も適当すぎて見ていられない。原作をしっかり知る人なら、勝手に膨らませられるのだろうが、何も予備知識なかったら、しょぼいアクション映画という出来栄えでした。