くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「任侠外伝 玄海灘」「500ページの夢の束」

kurawan2018-09-12

「任侠外伝 玄海灘」
壮絶な映画ですが、画面からほとばしり出てくるバイタリティがものすごい傑作である。少々描写がグロテスクなところもありますが、もの凄い迫力に圧倒されてしまいました。監督は唐十郎

田口という若者が血液銀行で倒れている場面から映画が始まる。その場で暴れまわる田口を抑えたのが近藤という男。彼は田口を自分のヤサに連れて帰る。

近藤には学生時代からの友人沢木というやくざ者の親分がいて、沢木は港で女を密航させたりして闇の商売もしている。ところがある日、九人のはずの密航者が十一人入ってくる。

近藤と沢木は学生時代朝鮮戦争で戦死者を連絡して回るアルバイトをしたことがあり、その時ある家で沢木はそこの女を犯し、そこにいた母、李春仙を近藤は殺して犯す。

そして二十年、実は春仙は生きていて、一年後娘孝順を生む。そして春仙は自殺してしまう。その夫春台は孝順と一緒に近藤に復讐するため日本へ密航して来たのだ。

近藤は春仙が生きていたことも、また娘が孝順であることも知らなかった。

物語は沢木組の沢木と近藤の生き様、そこに絡む田口、そして近藤と孝順の男と女の関係などが、暑苦しいほどの濃厚な描写で描かれていく。時にグロテスクなほどに汚らしいシーンや壮絶なレイプシーンなども交えた映像はとにかくバイタリティの爆発のごとしであり、その圧倒的に迫る力強さにグイグイと引き込まれる。

近藤は、朝鮮へ渡ろうとするが、警備艇に攻撃され戻ってくる。そこへ、春台が助けてやると銃の弾を抜くふりをして、ナイフを刺し、すべての真相を話す。

一方、沢木は近藤の存在が疎ましく、なんとかなきものにすべく考えるが、密航ビジネスの内容を書いた書類を田口が盗み出し、それをネタに近藤を守ろうと、その書類を孝順に託し、近藤の元へ走らせる。

ところが先回りした沢木たちが近藤に襲いかかり、近藤は銃で撃たれ死んでしまう。

孝順は近藤と思い書類を渡そうとしたが、それは沢木のバックにいる男で、孝順は撃たれて死んでしまう。

何もかもうまく行ったと思った田口が街を歩いていると、港に打ち上げられた孝順の死体を見つける。そこに駆け寄り、抱き寄せ、一緒に東京に行くはずだったと泣いて映画が終わる。

とにかく一気に押してくる感じの映画で、その熱さに説き伏せられてしまう。そんな映画だった。


500ページの夢の束
とっても素敵なハートフルヒューマンストーリーという感じの映画で、どこにも嫌味がなく、素直に物語の中に引き込んでくれるキュートな映画でした。監督はベン・リューイン

主人公ウェンディが空想する世界、光の粒子が宇宙を飛びとある惑星へ。宇宙船を破壊されたカーク船長とスポックが荒涼とした惑星を歩いている。このオープニングが素敵。

自閉症で施設で暮らすウェンディは大のスタートレックファンで、こうしてオリジナルの物語を空想しては脚本を書いていた。姉のオードリーには生まれたばかりの赤ん坊がいるため、ウェンディは施設に入ったのである。そんな姉が明日やってくる。

一方、テレビで、スタートレックのオリジナル脚本を募集するニュースが流れ、ウェンディは応募することにする。そして500ページ近くの脚本を書き上げ、準備をする。

翌日、姉がやって来たが、一緒に暮らすには無理だと言われ、パニックになったウェンディはそのままベッドへ。折しもその日は脚本を郵送する期限だった。

ウェンディは自分でパラマウントまで脚本を届けることを決意、今までしたことのない行動を組み立てて、夜明けとともにロス行きのバスに乗る。愛犬のピートが付いて来たので、仕方なくバッグに入れてバスに乗ったが、ペット禁止だったため途中で降ろされる。

歩いている途中で立ち寄ったところでお金とiPodを盗まれ、小銭を持ってドラッグストアに入りそこで優しい婦人に会い、彼女とバスに乗るがそのバスが事故を起こし、病院へ担ぎ込まれる。

しかしウェンディは持ち前の機転で脱出、逃げる途中脚本を100ページほどばら撒いてしまう。遅れて駆けつけた施設のスコッティと息子がその脚本をかき集め、ウェンディを追う。

ウェンディは再度ロス行きのバスを見つけるがお金が足りなく、巧みに荷物室に忍び込んでとうとうロスに着く。そして目的地を探している時に警官に見つかり、その一人がスタートレックのファンで、クリンゴン語でウェンディを説き伏せ、保護、そこへオードリーたちも到着。

ウェンディはスコッティの届けてくれた100ページ分を揃えて、いざパラマウントへ。そこで郵送のみと断られるも、そこは見事にかわして無事届ける。

帰ってきたウェンディにオードリーは赤ん坊を抱かせてやる。脚本のコンテストは残念な結果だったものの、このスタートレックの物語は、惑星で二人きりになったのはカーク船長とスポックではなくウェンディとオードリーの物語だったと写し出されて映画が終わる。

エンドクレジットで、ピートが走ってきてオードリーの家に入ってエンディング。
いやぁ、とっても素敵なハートフルストーリーでした。こういう映画を見ると本当にハッピーになれますね。