くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「独立愚連隊」「累 かさね」「ザ・プレデター」

kurawan2018-09-18

「独立愚連隊」
豪快そのものの痛快戦争活劇。まるで西部劇のような陽気さが楽しい一本。監督は岡本喜八

主人公荒木が寝そべっている場面から映画が始まる。実は本名は大久保と言って、その兄が不審な死を遂げたのでその真相を探るべく脱走してやってきたのである。

飛び降りてそのまま馬に跨り目的の駐屯地へ。そこでは大隊長が頭に負傷を負っていて、副官が指揮を取っている。どうやら公金を横領し上層部三人で私服を肥やしているらしい。そしてその真相を知った大久保の兄が心中に見せかけて殺されたらしいとわかってくる。

この駐屯地から少し離れたところに命知らずの小隊がいて独立愚連隊と呼ばれている。そこに合流する荒木。

面倒な推理展開はほとんどあっさりと済ませて、ひたすらチャンバラのようなどんぱちを繰り返していく展開になる。鶴田浩二三船敏郎をさりげない脇役に配置したり、配役の面白さも楽しいし、男と女のさりげない恋物語も挟んで、まさに岡本喜八らしい空気感がとにかく陽気そのものです。

ラストは、真実を暴かれ荒木=大久保に撃ち殺されて大団円。迫ってくる中国軍に愚連隊メンバーもみなやられてしまう。このクライマックス、500人の中国軍に10人余りの愚連隊が殴り込んでいくシーンがなかなか豪快。

単純な娯楽活劇という感じで何も考えず楽しむことができる作品でした。


「累 かさね」
面白い話なのですが、役者の力量不足、端役を適当な人で済ませた手抜きが目立ってしまって、鬼気迫る面白さが見られなかったのは少し残念。監督は佐藤祐市

亡き母でもと大女優の十三回忌、主人公淵累は、継母から辛辣な言葉を投げられているシーンから映画が始まる。累は顔に醜い傷はあり、それが彼女を卑屈な姿にしていた。

席を外した累に一人の男羽生田が近づく。その男は丹沢ニナという舞台女優のマネージャーで、話があるという。

実は累は母から一本の口紅をもらっていた。その口紅を塗ってキスをすると12時間姿が入れ替わるという不思議なものだった。

累はスランプになっていると言われたニナと入れ替わり舞台のオーディションに出ることになる。

最初は渋々だった累は次第にニナになりスポットライトを浴びることで自分の存在が認められていくことにのめり込み始める。しかもニナには突然意識を失い、長期間眠ったままになる持病があった。

やがて舞台も成功するが、ニナは次第に累を危険視するようになっていく。この二人の鬼気迫る展開が見所なのですが、土屋太鳳もそれほど芸達者ではない上に芳根京子がかなりひどいために、物語の緊張感が中途半端になっている。しかも、累の継母役の女優はど素人に近く下手くそな上に、演出家として登場する出演者への演出が手抜きされているために、どんどん薄っぺらくなってくる。

そしてニナが長期に眠っている間に、累はサロメの舞台の主役になり、映画はこの舞台シーンがクライマックスになる。そこに、ニナの嫉妬がピークを迎え、累に復讐するために口紅を偽物と入れ替えたのだが、それも累にバレていて、さらに、累の母親もこの口紅で入れ替わって成功していた過去を知ることになる。

物語がおどろおどろしい真相に迫っていくにもかかわらず、土屋太鳳と芳根京子の演技が際立ってこないため、この二人への演出に時間を取られて他の配役への演出が間に合わなかったような感じの出来栄えになったように思います。

確かに面白いし、ほとんど退屈しないのですが、本当にもう一歩、原作の迫力に及んでいないような気がします。勿体無い出来栄えの映画でした。


ザ・プレデター
本当にハリウッドもネタ切れか、かつてのカルトムービーを装いを変えての投入。今更プレデターのキャラクターに驚くことはないし、ただのエイリアンとのバトルだけの並みの映画でした。監督はシェーン・ブラック

一機の宇宙船が時空間を抜けて地球へ落下してくる。それを追いかけてくる巨大な宇宙船。まるで「スターウォーズ」のオープニングを思わせるシーンから映画が始まる。

今まさに誘拐犯を射撃しようとしている射撃手のクイン。そこに巨大な宇宙船が落下してくる。あわやというところで難を免れ、その落下したところに行くと、エイリアンのような生き物が倒れている。その被っているマスクや装備を取り、証拠として自宅に送る。

自宅では発達障害だがサバン症候群の息子のローリーが荷物を開いてしまう。

物語はこの装置を取り戻そうとやってくるプレデター、さらにそのプレデターを追ってきた巨大プレデターとのバトル戦が見せ場となる。

今更プレデターの戦闘力に驚かないし、その残虐さも見せ場にはならない。しかも最初のプレデターは人類に警告に来たエイリアンで、追ってきたでかいのが悪者。でかいプレデターは人類とのDNA融合で生き残り、地球に移り住むつもりだったらしく、先のプレデターはそれを防ぐ装置を地球に届けにきたことがわかる。

そしてラスト、プレデターたちが死んでしまうが、残った装置を分析してみるとなんとプレデターキラーと呼ばれるバトルスーツだとわかって映画が終わる。

続編を予想させるラストだが、それほど面白いわけでもなかったので、無理じゃないかなと思う、そんな印象が残った映画でした。