くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「チワワちゃん」「TAXI ダイヤモンド・ミッション」

「チワワちゃん」

最初はどうなるかという映像描写に引いてしまったが、これが今の青春映画の在り方なのだろうと、次第に引き込まれてしまいました。人気スターより芸達者な若手を集めたのが、作品に個性を生み出して仕上がった感じです。監督は二宮健。

 

東京で、夜の街で遊びまわる若者グループだった一人、通称チワワちゃんが、バラバラ死体で殺されたという事件が起こる。かつての仲間で、親しかったミキが、雑誌のインタビューを受ける中で、チワワちゃんの過去を見つめ直していくのが物語になります。

 

クラブで遊びまわるミキ達のグループに、ある日、吉田という男にナンパされてやってきたのがチワワだった。本名も知らず、グループに加わったチワワには、独特の空気感があり、クラブのマスターの冗談半分の情報から、不動産屋の客から600万円を奪い、ミキらのグループが遊びまわる。

 

細かいカットとサイケデリックな映像、騒がしいだけのような映像演出で目まぐるしく展開する前半部分が、ミキがチワワの素顔を追い求めていく中に、一瞬見え隠れする人間像、と思いきや、一歩奥に入り込んでいかない。これが今の若者達の姿なのだろう。

 

普通の映画なら、次第に見えてくる素顔ということなのだろうが、SNSなど、ネットの中のうわべの世界で生きる若者達には、どうしてもたどり着けない部分が今は存在するのだろう。

 

結局、チワワが、どうして死んだのかということは語られないまま、チワワが死んだ東京湾に花束を投げ、めいめいがチワワとの出会いや思い出を一言動画にして映画が終わる。これは今の青春映画なんだろう。

 

見終わった後、何が残るというより、何かを感じ取ったような感覚だけが不思議な感動になって染み渡りました。いい映画、とかそういう表現ではなく、これが現代なのです。そんな感動を覚えました。

 

「TAXI ダイヤモンド・ミッション」

リュック・ベッソンも地に落ちたね。見なければよかったと思うような作品。汚くて下品な演出と下手くそな悪ノリに、フランス人の程度を疑うような映画だった。しかも、オリジナルとは完全にかけ離れた物語に変わってしまって、なんの面白みもなかった。監督はフランク・ガスタンビド。

 

パリ警察のマロ刑事は、車の運転は一級品で、ぶっ飛ばして犯人を逮捕するところから映画は幕を開ける。度重なる経費の無駄遣いに、マルセイユへ左遷され、そこで、箸にも棒にもかからない最低のスタッフと仕事を始める。

 

折しも、世界一のダイヤが盗まれるらしいという情報が入り、その強盗団との一騎打ちがクライマックスなのだが、前半の汚い演出の数々に辟易としていた上に、随所に見られるが面白くもないバカ騒ぎに、劇場を出て行きたくなった。

 

主人公のキャラクターも魅力がないし、脇役も下品なだけ。さらに、汚物を遠慮なく出す汚い脚本と演出に目を背ける。最低の映画に出会いました。