くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シンプル・フェイバー」「スタフ王の野蛮な狩り」「こねこ」

「シンプル・フェイバー」

これは面白かった。なんかラテンリズムに乗ったブラックコメディという感じで、ジメッとしたところや陰湿なミステリーではなく、茶番劇のような色合いであれよあれよとラストまで引っ張っていく。どこか皮肉っぽい作り方が癖になるような作品でした。監督はポール・フェイグ

 

シングルマザーのステファニーが自分のBLOGでライブ配信している場面から映画が始まる。陽気なリズムに乗せたオープニングですっかり乗せられ、このファーストシーンでアナ・ケンドリックに引き込まれます。そして彼女はそのBLOGで、友人のエミリーが5日前から行方不明で、息子のニッキーを預かったまま困っていると笑って訴えている。

 

そして、物語は少し前に遡る。息子と二人暮らしで、普通にママをやっているちょっとハイテンションすぎるステファニーは息子の友達のニッキーの母親エミリーと知り合う。ロンドンに行っていると聞いていたエミリーは、キャリアウーマンで抜群にかっこいいし、センスも抜群。一目で惹かれたステファニーはエミリーに誘われるままに自宅に行く。

 

なんと典型的なセレブの家と元作家で大学教授のかっこいい夫とのラブラブ生活を目の当たりにする。そんなエミリーに惹かれながらどんどんステファニーは親しくなるが、ある日、ニッキーを預けられたまま音信不通となる。

 

警察に捜索願を出したが、間も無くして湖で水死体となって発見される。ステファニーは落ち込んだエミリーの夫ショーンを慰めているうちに、体を合わせてしまう。そして一緒に住むことになり、いきなりのセレブになったことに舞い上がり、エミリーのクローゼットの大量の衣装を処分して自分のものを並べようとしたら、なんと捨てたはずの服が元に戻っていた。

 

しかも、ニッキーはエミリーの姿を見たといい、手紙を預かってステファニーに渡す。そこにはエミリーにだけ話した話題が書かれていた。おかしいと思ったステファニーは、エミリーの過去を調べ始める。そして彼女には双子がいたこと、両親は火事で焼け死んだことなどの謎が見えてくる。

 

一方、巨額の保険金がかかっていたこともわかる。そんな時、エミリーが突然現れ、これまでの様々が計画的だったことを自白する。荒れた生活で絡んできた双子の妹を殺し、父も過去に殺していた。そして、夫をDVであるかに見立て逮捕させ、家のローンなども含めて、全てを清算しようと計画、ステファニーも利用していたことがわかる。

 

ステファニーはショーンと相談して、エミリーを逮捕させるべく一芝居打つが、エミリーは銃でショーンを撃ち、あわやステファニーも撃とうとしたところへ、学校のステファニーの親友が車でエミリーをはねて助けて大団円。

 

二転三転するストーリー展開が小気味好いほどに皮肉に満ちているし、何かにつけステファニーのBLOGのライブ映像が能天気に出てくる。しかも背後の音楽は実に陽気である。ステファニーも正義の味方ではないし、ショーンも曲者、エミリーに至ってはまさにファムファタールである。

 

曲者揃いの騙し合いのような茶番劇。そんなあっけらかんとした明るさに秘めたミステリーの面白さを満喫できる映画でした。

 

「スタフ王の野蛮な狩り」

絵作りも美しいし、構図も綺麗なのですが、幻想世界のようなシュール感に最後までついていけなかった。監督はワレーリー・ルビンチク。

 

一人の男が、あるお城に宿を求めてやってくるところから映画が始まる。そこには美しい女主人がいて、この城はこの地では有名な名家なのだという。

 

男はこの美しい女主人に惹かれるようになりが、様々な幻想的な世界が展開していく。幽霊騎士が現れて、次々と殺人が起こったり、小人が住んでいたり、スタフ王の伝説があったり。

 

結局、女主人は騒乱罪で捕まって連れていかれる場面で映画が終わる。とにかくシュールです。そのシュール感を感じ取れればいいのですが、まるで夢を見ているような展開に、全くつなぎ合わせることができませんでした。

構図も光の使い方もなかなかの一品ですが、ちょっと難しいです。

 

「こねこ」

ファンの間では人気のロシアの猫映画ですが、普通の猫映画やった。ほのぼのストーリーで癒される人は癒されるという感じの癒し映画でした。監督はイワン・ポポフ

 

子供達が、街で一匹の子猫を買うところから映画が始まる。子供達の父親はフルート奏者で、猫がきたことで家の中はてんてこ舞いするがそれも落ち着いた頃、外の鳥に興味を持ったこの猫は誤って窓の外からトラックの屋根に落ちてしまう。

 

そしていずこかへ行って、そこで、雪に中凍えて放浪したが、犬に追いかけられたところを一匹の猫に助けられる。子猫はこの猫のついていくが、行った先は猫好きの男の家で、たくさんの猫がいた。

 

物語はここでのさまざまなエピソードが展開していく。この男はアパートを出ていくように言われていて、不動産屋らしい男達に乱暴され、病院へ。行き場を失った猫達が自分たちで餌を探して回る。

 

たまたまコンサート会場のあたりに来た時、子猫はかつての自分の家の主人が吹いていたフルートに気がつき、無事元の飼い主のところへ。そこでクリスマスパーティが始まる。

 

一方猫好きの男が病院から帰ってきたが猫も誰もいない。一人クリスマスをしようとしたところへ、猫達が帰ってきてエンディング。全くほのぼの映画です。詩的な綺麗な画面も印象的な作品で、ファンタジーのようでもありました。