最後にスクリーンで見てから何年経つか、そろそろこれが生涯最後だろうと見直した。ほとんど覚えていたが、改めて画面の見せ方、構図の美しさにスティーブン・スピルバーグの才能を確認できました。ファイナルカット版なので、リチャード・ドレイファスがマザーシップの中を見る場面はありませんが、私はこのバージョンの方が好きです。
ゴビ砂漠、インド、などなどで不可解な出来事が次々と起こり、主人公ロイの住む町の場面へ移る。停電で急な仕事に駆り出されたロイが、UFOと遭遇し、何かのメッセージをうけてしまう。
思いつくまま、何かを狂ったように作っていくロイに妻のロニーも愛想をつかして出て行ってしまう。一方、未確認飛行物体の遭遇が相次ぐ中、政府はフランスのラコーム博士を中心に異星人とのコンタクトという極秘計画が進む。
そんな時、ロイはたまたまテレビのニュースで見かけたデビルズタワーが、自分がインスピレーションしていたものだとわかり、息子を連れ去られたバリーと現地を目指す。デビルズタワー周辺は疫病が蔓延しているという情報で立ち入り禁止になっているが、警戒をかいくぐってデビルズタワーの麓へ。そこには巨大な施設が建設されていた。
やがて、UFOからのコンタクトの時間が迫り、様々な形のUFOのあと現れたのはデビルズタワーよりも大きなマザーシップだった。
そして、エイリアンに誘われるままにロイは宇宙船に乗り込み宇宙へ旅立っていく。マザーシップが現れる場面の演出は初めて見た時も度肝を抜かれたが、やはり見事である。これが魅せるということなのだろう。
では、ロイの妻のロニーや子供達はあのあとどうなったのだろうとちょっと心配になるラストシーンですが、40年近く経って見直しても、名作ですね。素晴らしい一本だと思います。
「麻雀放浪記2020」
ピエール瀧の逮捕で公開が危ぶまれたが、製作側の断固たる姿勢で公開実現。遊ぶなら思いっきり遊べばいいのだが、どこかブレーキがかかったような雑な脚本と演出が最後まで鼻についてしまった。監督は白石和彌ですが、彼ならもっとぶっ飛んで欲しかったです。ただ、ピエール瀧より舛添要一が出てきたのがサプライズでおもろかった。
時は1945年、主人公坊や哲は例によって命がけの麻雀をしているがふと気がつくと2020年にタイムスリップしていた。このオープニングが実にあっさりと、適当に幕が開くのでまず興ざめ。そのあと、麻雀ゲームで、麻雀王と戦う展開から、AIに指名されて麻雀オリンピックに出場する展開へ進むが、なんとも不完全燃焼である。
ドテ子のキャラクターが弱いのと竹中直人も今ひとつ精細に欠く上に斎藤工もなんともスマートすぎて荒っぽさが出てこない。結局そのまま、あれよあれよと適当な展開で元の時代に戻った坊や哲でエンディング。